自社開発の金型による高品質、精密プラスチック加工 緻密で合理的な経営理念とともに、未来を創造

自社開発の金型による高品質、精密プラスチック加工 緻密で合理的な経営理念とともに、未来を創造

ますます小型化・軽量化が進む精密機械で重要なカギを握っているのが、プラスチック部品だ。そして数年来、中国企業のプラスチック用金型の開発力もめざましい進歩を遂げている。今回は、プラスチック用金型の研究開発および精密機械用部品の射出成型を得意とする蘇州銘碩精密機械有限会社の高培銘総経理に話を伺った。

◆精密機械用プラスチック部材の品質を保証

蘇州銘碩精密機械有限会社は2001年の設立以来、精密プラスチック金型の設計、製造、販売のほか、超小型精密部品の射出成型、精密プラスチック金型の部品製造を3つの柱としている。

会社設立の当時は、まさに中国製造業金型界の黎明期にあったため、良質な金型を作れる中国企業は少なかった。そのため、市場のニーズに応えるかたちで、精密プラスチック金型の研究開発および製造を業務の中心としていく方針を固めた。その後、会社の基盤が盤石になるにつれて、プラスチックの射出成型も行うようになった。

現在、同社には設計開発を専門に担当するスタッフが3名おり、過去10年の間にパソコンや携帯電話、自動車の部品用金型製造の実績を積んだ。自社内に専門の技術開発チームをもつため、プラスチック用金型と自動化設備の独自設計と開発も可能で、いまや中国系の同業他社をリードする存在となっている。

精密機械用の部品は、品質と安定性に対する要求も高いが、同社ではすでにISO9000を取得。国際的な中国の携帯電話メーカー中興や華為の第3世代、第4世代に使われる部品も供給する実力を持つ。

同社の商品の特長は、高品質と精密さにあるが、これは自社内に金型製造のスタッフがおり、常に改良のための研究を行っていることに基づく。つまり、金型の精度が射出成型の精度も同時に保証し、補完しあいながら成長しているのだ。

◆厳密な納期管理

同社は、日系企業や欧米企業との取引も多い。日系企業との取引では、中国にある日系企業向け、また日本への輸出用としてコネクターを提供。欧米企業の場合は、イヤホンや補聴器が多い。

また、確かな技術を認められ、他社から金型の設計や部品の加工、製造を依頼されることも多い。もちろん品質だけでなく、コスト面での優位性も魅力の1つだ。日経企業からのリクエストが多い多品種小ロットにも対応している。

日系企業の場合には、コスト面での要求が厳しいばかりか納期も厳格だが、同社では納品までの工程を綿密に計画し、品質管理も徹底したうえで、品質と納期を保証している。

◆豊富な経験と自社開発能力で競争力を強化

目下、同社は自動車産業への進出を視野に入れている。すでに自動車部品の製造は開始しているが、今年中にISO/TS16949の取得を目指し、体制を整えていく予定だ。また、将来的には医療機器業界にも進出していきたい考えもある。高総経理は「医療業界は敷居が高いが利潤も高く、今後需要の増加が期待できる成長業界の1つだ」と、将来の展望を語る。

高総経理は同社の創設者でもあるが、社会人になって間もなく金型に取り組み始め、8年の下積みを経て技術に対する知識と経験を積み、同社を設立した。すべて自社開発・設計を行っている点が、この12年間の同社の成長の源泉なので、この姿勢は今後も貫いていく予定だ。

また、射出成型技術のさらなる向上と製品精度を高めていくために、積極的に日系企業との取引も増やし、自社技術を磨いていきたいと考えている。

◆より強固な品質管理体制を敷き、さらなる目標を実現

現在、同社の工場面積は2000平方メートル、社員は60名弱だ。保有している設備は、三菱電機の形彫放電加工機EA8、ワイヤ放電加工機BA8、アメリカ・ハース社のマシニングセンタVF-1、NISSEI射出成形機15トン~120トン(治工具も全セット完備)、検査設備では、アメリカ・AEM社の三座標計測機、ミツトヨの光学投影機とマイクロメータなど一流機器が揃っている。

工場内は、非常に合理的に管理されている印象を受けるが、同時にたいへん開放的で明るい雰囲気が満ちている。工員の作業環境もよく、清潔感のある制服を身に着け、たいへん秩序正しい印象を受けるほか、5Sも徹底されている。

また、壁には大きく「效率成就品牌、誠信鋳就未来(効率がブランドを作り、誠実さと信頼が未来を築く)」という企業理念が貼り出されている。

同社は現在、本社が位置するのと同じ江蘇省の北部に、金型の部品製造を専門に行う工場をもう1つ持っている。そこでも、原材料から製品に至るまでの全工程に対して真面目に取り組み、品質の向上とさらなる革新に取り組む姿勢は全社レベルで徹底されている。こうした誠実なモノづくりの姿勢が、高品質でリーズナブルな価格帯の商品という付加価値を生み出し、市場の要求に応えるかたちとなっている。精密部品の金型と加工技術は、いまだに日本が得意とする分野ではあるが、確実にその技術の差は縮まってきている。

すでに台湾系企業であれば、技術レベルは追い付いているし、中には同社の製品のほうが技術レベルがずっと高いものもある。

高総経理は最後に、「会社の発展は、自分自身の仕事の目標そのもの。飾らず誠実に取り組むという経営理念をもって、常に自分を律しながら、誠意を尽くして顧客と市場の開拓にチャレンジし続けたい」と、強い意志を語ってくれた。