なるほど!イチから分かる中国事業再編の実務 第6回

 

今回は、事業撤退に係る優遇税制の取消、労働債務のリスクについて説明させていただきます。

 

(1) 優遇税制の取消

中国は外国投資を促進するために、外資系企業に対して優遇税制を設けています。会社を清算する際、当該優遇税制により減免された税金の返還を求められる可能性があります。

 

1 企業所得税

優遇税制の適用を受けている場合には、適用条件の確認が必要です。例えば、利益の出た第1年目、第2年目は免税、第3年目から第5年目は50%減免になる「二免三減」制度は、経営期間が10年以上の生産型企業に限って享受できる制度であるため、10年未満で解散した場合には、それまでに減免を受けた企業所得税を返還しなければなりません。

 

2 関税・増値税

奨励類企業の輸入設備の関税及び増値税の免除制度の適用を受けた設備は、一定期間に渡って事業の用に供することが免税要件とされているため、会社を途中で解散した場合にはさかのぼって関税及び増値税を納付しなければなりません。中国子会社がこれらの優遇税制の適用を受けている場合には、解散時期にも留意が必要です。

 

(2) 労働債務

 

1 経済補償金(退職金)

中国の労働契約法では会社都合により労働契約が解除される場合には経済補償金を支払う必要があります。経済補償金の計算は対象従業員の前年の平均給与×勤務年数です。この場合の勤務年数の上限は12年とされています。
ただし、従業員と労働契約解除の協議が合意に至らない場合には2倍の経済補償金を支払う必要が生じるため、従業員との円満な契約解除の交渉が必要となります。

 

2 社会保険・住宅積立金

社会保険には、基本保険と補充保険がある。基本保険には養老保険、医療保険、失業保険、公傷保険、生育保険及び住宅積立金の種類があり、通称「五険一金」と呼ばれます。

 

 

中国子会社を抹消する場合には、従業員の社会保険および住宅積立金の抹消手続きも必要となります。この際に納付額の不足を指摘された場合には、中国子会社に納付義務が生じ、個人負担分は中国子会社が個人に請求することになります。従業員に給与を支給している際の負担率は35%前後である地域が多いが、個人負担分も含めた納付率は45%〜50%前後と高負担になる場合が多く、社会保険料の延滞金については2011年7月1日以前の納付不足額については1日あたり0.2%、同日以後は1日あたり0.05%を課する旨が規定されています。

 

3 障害者雇用保障金

原則として中国における全ての企業は「身体障害者就業条例(国務院令第488号)」により身体障害者の雇用義務があります。雇用比率は在職従業員総数の1.5%であるが、具体的な比率は管轄行政によって定められており、上海の場合には1.6%です。また、企業の身体障害者雇用数が定められた人数に達しない場合には身体障害者就業保障金を納付しなければなりません。身体障害者就業保障金は上海の場合、前年度の当該企業給与総額の1.6%とされています。工場などで多くの人員を雇用していた場合には、この保障金の負担も少額でないことが多く、事前に納付漏れ、不足がなかったかを確認しておくことが必要です。

 

中国子会社の清算は、事業内容や地域によって、税務リスクが異なる場合がございますので、事前に専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

 

 

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