なるほど!イチから分かる中国事業再編の実務 第5回

 

今回は、前回に引き続き、事業撤退の際の税務リスク(印紙税、関税、海外送金に伴う源泉所得税、延滞税)について説明させていただきます。

 

税務上の注意点

清算する旨の報告を税務局に行うと、殆どの場合は税務調査の対象となるため、事前に税務上のリスクの洗い出しが必要です。また、税務調査において的確な対応が出来ずに調査が長期化し、清算業務スケジュールに影響を与えるケースもあるため、次のような指摘事項を事前に予測し、その対応を検討しておく必要があります。

 

(1) 印紙税(印花税)

印紙税とは中国国内においてビジネス関係文書を作成若しくは受領する際に納付する税金です。次の文書が、印花税の課税文書です。
①販売、加工請負、建設工事請負、財産賃貸 、物品運送、貯蔵・保管・金銭消費賃貸、財産保険、技術契約、及び契約の性質を有する文書
②所有権移転契約文書
③会計帳簿
④権利・許可に関する文書
⑤その他財政部が規定する文書
印紙税は他の税目での税務調査に付随して確認をされることが一般的であり、他の税金に比して納税漏れ指摘が多く、清算の際の税務調査では殆どの場合、印紙税の納税漏れが指摘されております。印紙税の税率は0.03%~0.1%と比較的低いですが、この中でも購買・販売契約、技術契約、所有権移転契約(譲渡契約)、株式所有権譲渡契約について納付漏れを指摘される可能性が高い為、留意が必要です。

 

②税関

委託加工貿易企業に関しては保税材料(以下「保税材」)の管理状態によっては関税を追徴される可能性があります。当企業の清算にあたり税関手帳(中国語では「手冊」)を抹消登記する際、この保税材の消し込み(中国で「核銷」)が適時に行われずに不一致がある場合、差額を輸出製品に使われなった保税材とみなされ、関税・増値税および滞納金が課されます。したがって中国子会社が委託加工貿易企業である場合は、税関手帳を抹消登記に備えて残高を確認する必要があります。

実務では毎回の誤差が少額であることを理由に輸出時の差額調整を行う手間を省略してしまい、差額が積み上がって100万元以上の追徴を課された例もあります。清算時のみならず、通常の経営期間においても手帳の管理をおろそかにしないような内部統制の整備が必要です。

 

(3)海外送金に伴う源泉所得税(企業所得税、増値税、営業税等)

日本親会社に対しロイヤリティなどとして対外送金をしている場合には、源泉所得税の納付の有無を確認する必要があります。原則として中国から海外へ送金する際には送金する対価に課される企業所得税の納税証明を提示しないと海外送金が出 来ませんでしたが、近年の規制緩和により税務証明が必要でない送金金額の上限が 引き上げられています。これは中国子会社 が自主的に源泉所得税を納付していることを前提とするものであり、送金時の源泉徴収と納付義務が免除されているわけではありませんので注意が必要です。

 

(4) 延滞税

税務当局からの指摘により納税を行う場合には延滞税が課されることとなります。追徴期間は原則3年、特別な事由がある場合には5年まで追徴期間とすることができるとされています。中国の延滞税率は納税義務発生日から1日あたり0.05%(年18.25%)であり、延滞税の負担が予想以上に高額になるというケースも少なくありません。

中国子会社の清算は、事業内容や地域によって、税務リスクが異なる場合がございますので、事前に専門家のアドバイスを 受けることをお勧めします。

 

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