なるほど!イチから分かる中国事業再編の実務 第4回

 

税務上の注意点

清算する旨の報告を税務局に行うと、殆どの場合は税務調査の対象となるため、事前に税務上のリスクの洗い出しが必要です。また、税務調査において的確な対応が出来ずに調査が長期化し、清算業務スケジュールに影響を与えるケースもあるため、次のような指摘事項を事前に予測し、その対応を検討しておく必要があります。

 

(1)資産損失

◆ 棚卸資産、固定資産等の損失

①企業所得税

棚卸資産、固定資産等に係る資産損失の損金算入が認められるには、事前に所轄税務署に対して認可申請を行う必要があります。当申請にあたり、清算直前のBS上に計上されている上記資産の資産損失の証明文書の準備が必要であり、これらの資料が不十分である場合、損金性が否認される場合があります。

 

②増値税

増値税の計算上、仕入増値税は売上に対応する売上増値税から控除することが原則となっているにもかかわらず、非正常損失が生じた棚卸資産等に係る増値税の仕入税額控除は認められておりません。清算開始後は経営活動が行われないため、BSに残っている棚卸資産等に係る増値税を、損失計上する際に、税務署に返還しなければなりません。

 

◆ 貸倒損失

①企業所得税

売掛金、前払金等の貸倒損失の計上も原則として証明文書を準備する必要があります。債務者が債務を弁済する能力がないことを証明する資料が不十分な場合には、損金性を否認される場合があります。

 

(2)移転価格税制

①企業所得税

税務機関は、企業とその関連者との間の取引が、独立企業原則に合致していないために企業やその関連者の納付税額または課税所得金額の過少を認定した場合には、 合理的な方法で調整を行う権限を有しています。この移転価格税制の適用対象となる取引は、有形資産の売買、譲渡及び使用、無形資産の譲渡及び使用、融資、労務役務提供が該当します。

企業がその関連者との業務取引に関する資料を提供しない、または虚偽・不完全な資料を提出し、それが関連者との業務取引の状況を正しく反映していない場合は、税務機関は法に従いその課税所得額を推定できることとなっているため留意が必要です。

 

②増値税

企業所得税の移転価格税制により取引価格の是正措置が取られ、その取引が増値税または営業税の課税対象であった場合には、増値税または営業税も追徴課税されます。経営期間中に移転価格について指摘がなかった場合でも、清算時に行われる税務調査で指摘される可能性がないわけではないので留意が必要です。

 

(3)個人所得税

中国子会社に日本親会社から社員を出向させた場合には個人所得税の納付額の実績を確認し、的確な申告納税がされているかを確認する必要があります。出向者の人数が少なく、経営期間中に個人所得税是正の指摘実績がなくても、清算時には外国籍個人所得税の納税額を税務局が再確認することが通例です。「国税発[1999]241号」によると日本からの支給分についても中国子会社に源泉徴収義務を課することが示されており、この点を指摘された場合には中国子会社が個人所得税の不足分を徴収されるので注意が必要です。

次回も、引き続き、事業撤退の際の税務リスク(印紙税、関税、延滞税)について説明させていただきます。

 

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