工場移転·代替地選定 虎の巻 第2回

 

 

mitutoyo  旧正月もあけ、いよいよ2019年も本格的に始まります。さて、今回及び次回のコラムでは、上海における製造業の皆様を取り巻く背景がいかに厳しくなったかを「不動産政策」と「産業政策」に分けて、体系的に記述いたします。

 

二つの不動産政策【104区域政策】と【未登記物件( 違章建築) の取り壊し】

 

  流行語大賞があれば確実に候補となりそうな耳タコワード【104区域】とは、16年3月施行された上海市条例より派生したキーワードです。ざっくり言えば、104の区域(エリアと工業園区の総称)は工場生産が継続可能だが、それ以外のエリア(195区域、198区域)は順次土地用途が工業より変更され立退きを迫られるという条例です。つまり104区域に該当していればセーフ、以外なら順次アウトです。実際アウトの面積は400キロメートルに及び、工場用地は約3分の2に減少する条例となっております。

 

mitutoyo また、不動産で儲けてやろうという輩の多い中国ならでは、原則マスタープラン詳細は第三者へ「非公開」であり、優しくない条例です。加えて、次号で詳しくお話いたしますが、104区域は100%セーフではございません。文字数の関係上、本誌では表面の概要のみの記載となりましたが、詳細や調査方法、背景などは、弊社までお気軽にご相談ください。

 

 この条例はもう一つの不動産政策【未登記物件(違章建築)の取り壊し】を後押し、権利証への記載がされていない建物の強制撤去・解体が法のもとで敢行されております。一部の賃貸工場は村(鎮)政府や街道委員会などが、国からの土地使用権を取得せず勝手に建築したものであり、工場建屋全体がアウトになるものも散見します(集体土地を除きます)。


 小さなところでは守衛室や社員寮、駐輪場、屋根付き倉庫、屋根裏などの増築部分が該当し撤去対象・アウトとなります。政府側の監視は衛星写真を通じ、権利証上の宗図に記載されていない建物を可視化する徹底ぶりで、まるで映画の世界です。


 余談ですが、惜しまれながら消えていった日本食の赤提灯街・古羊路や、仙霞路の露店の一部なども当該条例によりアウト、撤去・解体となりました。あの雰囲気は何とも味があっただけに寂しいものです。

 

二つの不動産政策がもたらす上海工場不動産市場の変化


  これらの政策は上海市内における選択可能な工場用地(物件)を激減させました。104区域により3分の2に減少、さらに未登記物件取り壊しにより相当数の物件が無くなったことでおおよそ市場での選択可能な工場物件は従来の半分(2分の1)程度に。立退きを求められる半分の製造業企業が残り半分の物件に集中した結果、需給バランスは壊れ、不動産価格は高騰・貸し手優位の市場を形成しました。また、104区域であれば希望の環境評価が取得できるわけではない点も注意が必要であり、選択の幅はさらに狭まります。

 

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アウト(用途変更・未登記物件)はいつチェンジ(立退き)になるのか?

 

 ではいつまでに立退きをしないといけないのかという点は、「適時・順次」と定義されています。賃貸契約の更新時期なのか、または環境影響評価の締め付けの方が早いのか。遅くとも35年まで(詳細は次号で)には完了し、13 次五カ年計画終了の20年までに、つまり本年と来年に一つの山場を迎えると個人的に思慮いたします。


 本不動産政策の背景には15年より始まった中央政府主導による不動産法整備の改定があります。国主導の法律に連動し施行された政策であり、憲法改正が無い限りはチェンジのタイミングは刻一刻と迫ってきます。私たちは「地元政府と仲がいいので…」は誤審であり、チェンジを宣言する審判員を見誤って認識してしまっています。今がワンアウトでも「いずれ来る」チェンジに備え、攻守交替いずれの局面でも代替地選定のお手伝いができます。9回裏からでもお気軽に弊社までご相談下さい。

 


引用:
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