計測に関する豆知識 第12回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしてきました。最終となる今回は『計測と測定』についてのお話をさせていただきます。

 

計測と測定の違いは?

 

 連載の主題にしている「計測」と、一般的に使われている「測定」の違いは何でしょうか?多くの方は特に意識しないで使われていると思われますが、実は大きな違いがあります。「JIS Z 8103:計測用語」では、下記のように定義されています。

 

計測(instrumentation)

   特定の目的をもって、事物を量的にとらえるための方法・手段を考究し、実施し、その結果を用い所期の目的を達成させること。

 

測定(measurment)

   ある量を、基準として用いる量と比較し数値又は符号を用いて表すこと。

 

 以前、私が先輩から聞いた時には、以下のような表現をされていました。「何かしらの数値を得るのが測定で、実験計画法によって正しい結果を得ることが計測。計画して測定するから計測だ。」と。

 

mitutoyo 例えば、ノギスを使ってある加工物の長さが20.0mmと結果を得るのは測定です。許容値に入っているかどうかの判断を行いますね。しかし、その値の確かさを把握するために繰り返し測定や誤差要因を排除した測定方法を駆使して20.0mmの結果を得た場合は計測と言えます。このことからも、目指すべきは計測ですね。

 

計測に必要な実験計画法

 

 計測を行うために必要なこととして、実験計画法があります。より良い分析結果を得るための実験方法を計画することですが、Fisherの3原則として下記が挙げられます。

 

  • 繰り返し  同一条件で2回以上繰り返すことで偶然の結果や誤差を判断する
  • 無作為化  偶然誤差と系統誤差を排除する
  • 局所管理  評価したい項目以外の要因による影響を取り除く

 

 今回は実験計画法の詳細までは触れませんが、下記の問いかけにしっかりと答えられる測定が計測になると認識すればよいと思います。

 

・1回の測定で得た結果で判断していいのですか?

・測定結果の数値に含まれる誤差量は把握していますか?

・その測定結果はほかの人が測定しても同様の値になりますか?

・得られた値から、どのようなことを判断しますか?

 

 過去に掲載した「測定環境」、「測定精度」、「測定の不確かさ」、「工程管理」のテーマは、この実験計画法に関係しています。時間がありましたら再読ください。また、計画実験法について詳しく知りたい方は専門書をお勧めします。

 

最後に

 

 今回まで12回の連載をさせていただきましたが、私自身、資料を確認しながら新たな知識を得たことも多くありました。

 

 最近では、130年も使われてきた「国際キログラム原器」を廃止するというニュースが流れました。物理量の7つの基本単位のうち、唯一人工物が基準になっていた質量(キログラム)が、基礎物理定数のアボガドロ定数で再定義されることになるそうです。計測技術の進歩の賜物ですね。次の機会がありましたら、こんな話題にも触れたいと思います。

 

 これまで私の駄文につきあっていただきまして、誠にありがとうございました。

 


引用:
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