積極的に他社との提携に動くシャオミ

 

 家電大手TCL集団は1月7日、スマートフォン大手の小米(シャオミ)から出資を受けたと発表した。シャオミは、TCLの株式の0・ 48 %を取得。当日の株価から計算すると、約1億7000万元(約 27 億2000万円)になるという。それに先立ち、2018年 12 月29 日、両社は戦略的提携協議に署名している。スマートデバイスなどの研究開発やサプライチェーンなどの面で協力していく計画だ。シャオミは、テレビなどの家電事業も展開しているが、そもそもTCLがシャオミの 32 インチテレビをOEM生産している。TCLによると、同社傘下の華星光電が生産する 32 インチ液晶画面は、 18 年第3四半期の世界シェアが2位だったという。それには当然、シャオミも貢献しており、両社はもともと蜜月関係だったのだ。

 

 中国では、スマートテレビの競争が激化している。中商産業研究院によると、 18 年第1四半期の国内シェアは、創維数碼(スカイワース・デジタル)が 13 ・7%の1位で、シャオミは 12 ・8%の2位。以下海信集団(ハイセンス)、TCLと続くが、上位4社を合計しても過半数に届かない団子状態だ。2位と4位が組むことで、実質1位に躍り出たことになる。

 

 シャオミは、根幹事業であるスマホにおいても、積極的に他社への投資に動いている。美顔アプリ「美図秀秀」や「美粧相機(MakeupPlus)など、自撮り用写真編集アプリを開発する美図(メイトゥ)は昨年 11 月 19 日、シャオミとの戦略的パートナーシップ締結に合意したと発表した。同社のアプリは人工知能(AI)や拡張現実(AR)を駆使した正確な顔認証を強みとする。日本をはじめとする海外でも展開し、月間アクティブユーザーは全世界で約3億5000万人に上るという( 18 年6月 30 日現在)。そんな同社は、 13 年にはバーチャルメイク機能を搭載したスマホの販売に乗り出す。この事業は全売上高の7割を占めるほどの規模だが、今回の提携は、そのハードウェア事業に関するものだ。

 

 しかし、この提携は対等なものではない。発表によると、同社はメイトゥスマホのブランド名、画像技術などを全世界で使用する権利をシャオミに供与する。研究開発から生産、販売、広告宣伝まですべてをシャオミが担い、メイトゥは画像処理や美顔アルゴリズムなどの技術面のみをサポートする。提携は2段階にわたって進められ、第1段階は5年間とし、メイトゥスマホの販売における粗利の 10 %をメイトゥが受け取る。約束した金額に到達したら、シャオミが提携を継続するか否かを決定する。要するに、これはメイトゥブランドのライセンシングであり、実態は事業譲渡に近い。

 

 それには、メイトゥの苦しい台所事情がある。同社の 18年上期の売上高は前年同期比5・9%減の20 億5000万元(約330億円)で、純損益は1億2700万元の赤字だった。通年でも赤字の見通しで、6期連続の赤字となる見込みだ。その元凶が、スマホ事業というわけだ。

 

 一方、シャオミにとっても提携は渡りに船だった。同社の足元の業績は好調だ。18 年第3四半期(7~9月)の売上高は前年同期比 49 ・1%増の508億元で、純利益は同 17 ・3%増の 29 億元だった。米調査会社IDCによると、同期の世界のスマホ出荷台数は前年同期比6%減の3億5520万台だったが、そんな逆境下でもシャオミの出荷台数は同21 ・2%増の3400万台に達し、4位だった。ところが、中国市場だけは別だった。香港地区の市場調査会社、カウンターポイントテクノロジー・マーケットリサーチによると、同期の中国販売台数は 15 %減の1310万台で5位だった。

 

 

 その原因は、消費意欲の強い女性からの支持率の低さにある。中国の調査会社・極光が 18 年9月に中国の主要メーカー4社を対象にユーザー調査を実施したところ、女性ユーザーの割合が最も大きかったのはOPPO(オッポ)で 54 ・9%。以下vivo(ビーボ)の 50 ・9%、華為(ファーウェイ)の 34 ・2%と続き、シャオミは 27・5%に過ぎなかった。シャオミには、圧倒的に女性ユーザーの方が多いメイトゥブランドを手に入れることで、女性への訴求を強化する狙いがあるのだ。

 

 ファーウェイの孟晩舟最高財務責任者(CFO)の逮捕を受け、中国の一部ではiPhone を嫌厭し、逆にファーウェイを応援する意図で同社の製品へと切り替える動きがある。こうした状況下で、シャオミは上位との差を縮めることができるのだろうか。果たしてメイトゥとの提携が吉と出るか凶と出るか。メイトゥスマホの新商品の発売が待たれる。

 


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