計測に関する豆知識 第11回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしています。今回は『測定力』についてのお話をさせていただきます。

 

測定力で測定結果が変わる?

 

 これまでも測定条件や測定環境によって測定結果に差異が生じることを述べてきましたが、今回は測定力が測定結果に及ぼす影響を考えてみましょう。

 

 被測定物は硬い材質や剛体構造とは限りません。軟物質の樹脂やゴムはもちろん、金属であっても薄物の構造であれば容易に変形します。これらの寸法や形状を測定する場合には、「測定力による変形」を考慮する必要があります。

 

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 また、被測定物が変形しにくい場合でも、測定機器側への影響もあります。分かりやすい事例として、ノギスを使った測定時のアッベ誤差があります。下図のように、ノギスで測定する時に測定力のかけ過ぎは誤差を生じますので、適切で一定の測定力で測定する必要があります。これはノギスを使った測定時の人的誤差要因の一つです。一般的なノギスには定圧機構がないため、測定者によるばらつきが大きくなりやすいので注意が必要です。ばらつきを小さくするためには、デジタル読み取りのタイプであっても訓練が必要です。

 

マイクロメータの場合、過度な測定力を防ぐためにラチェットを適切に使用しましょう。

 

測定力のばらつきを防ぐ方法

 

測定力によるばらつきを小さくする対策としては、下記の方法があります。

 

①低測定力タイプの測定機器を使用

 測定工具や測微計には、測定力が小さい仕様を用意していることがありますので確認してみましょう。但し、測定姿勢(縦姿勢限定、横向きは不可など)などの条件がつくことがあります。

 

②定測定力機能を活用

 測定力を一定に保つ機能があれば採用します。測定力による変形は残りますが、取引先と同一の測定条件を再現できるため、品質管理の手法としては多く用いられます。

 

③非接触検出方式の測定機器を使用

 測定力による変形を無くしたいならば、非接触検出方式の導入となります。非接触レーザ変位計の測定機器や画像・光学測定機などがあります。非接触方式には、「高速測定(短時間)」「微細形状の測定」「多点測定」などの利点がありますが、反面、「清浄な測定面」「測定形状の制限(急峻な形状は困難)」「接触式データとの相関性」「比較的高額になる」などの課題もあります。

 

 いずれも、目的と用途に合わせた機種選定を行ってください。

 

測定力を指定

 

 測定力が指定される測定もあります。表面粗さ測定機は測定力が規格で決められています。表面粗さ測定は鋭利な先端の触針で表面を引っ掻くため、大きな測定力は被測定面へダメージを与えることになります。現在は0.75mN仕様が主流ですが、以前は4mN仕様が多く使われていました。比較的やわらかい被測定面の場合、測定力(触針の先端半径値も)の確認を行うことをお勧めします。

 

 

 また、硬さ試験機はまさに試験力(測定力)が最重要の要素になりますね。「ある試験力で生じた圧痕」の大小が硬さの値になるため、正しい試験力であることを定期的に確認するべきです。

 


引用:
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