計測に関する豆知識 第10回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしています。今回は「半径の測定」についてのお話をさせていただきます。

 

測定結果が合わないのはなぜ?

 

 図面にはR(半径)の寸法やRの中心値の指示が多くあります。三次元測定機や輪郭形状測定機、画像光学測定機などを使って測定をしますが、測定値がばらついたり取引先の測定結果と差異が生じることがしばしばありまう。なぜでしょうか?

 

測定面を拡大すると…

 

 一見、均一に見えるR形状でも、拡大すると表面粗さの凹凸やうねりなど、微妙に形状が変化しています。Rの測定値がばらつく大きな要因はこの微妙な形状変化であり、幾何学的な円弧形状になっていないことです。以下に事例を示しながら説明します。

 

①測定範囲角度と測定点数

 

 部分円からR測定をする際、測定範囲角度が狭いと演算されるR寸法にばらつきを生じます。下図とグラフは3点でR寸法を求める場合のシミュレートです。R50mmに対し、両端の2点にわずか0・5μmの誤差であっても、測定範囲角度が狭くなるほどにその影響が大きくなることを示しています。測定範囲角度を広げることが測定値の安定のために必要なことが分かります。

 

 

 上の例では3点からR寸法を求めているため、1点の影響度合いが大きくなっています。その影響を小さくするために演算の点数を増やすことは有効ですが、小部品では測定できる長さも限られますよね。輪郭形状測定機はサンプリングピッチが小さく多点測定が行えるため、コーナRのように狭範囲形状に向いています。しかし、点数が多くても評価範囲の違いが演算結果の違いになることが下図から分かります。±μm0・2程度のうねりでもR25mmに対して±μm5くらいのばらつきが生じることがあるのです。

 


 

②測定点の信頼度

 

 測定機によって程度は異なりますが、測定点には測定機固有の測定誤差を含んでいます。以下の手法などで測定点の信頼度と精度を上げ、トータルの測定精度を上げましょう。

測定精度の高い測定機を使う。測定範囲角度を広くとれない場合は特に重要です。

接触式測定機の場合は、先端形状が整った測定子を使う。偏摩耗のない先端が必要です。

測定したいR寸法と比べ、十分に小さい先端R(目安は分の1程度)の測定子を使用する

追従性の高い測定速度に設定する。

●画像・光学測定機の場合、解像度の高い倍率のレンズを使う。

 

③測定結果の相関を高める

 

 今回はR寸法を例にして測定値のばらつきを抑える手法を説明しましたが、近年は要求精度が高く、許容範囲が小さくなっているため、あらゆる測定項目において取引先との条件合わせが重要となっています。測定のための基準位置や測定評価範囲などを細かく指定している図面もありますが、まだまだ少ないですね。データ相関のトラブルを防ぐためにも、事前の条件合わせを重視しましょう。

 


引用:
0