計測に関する豆知識 第9回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしています。今回は「測定の効率化」についてのお話をさせていただきます。

 

<測定にかかる時間は…>

 

 これまで、ものづくりにおける測定の重要性を説いてきました。さらに工程管理のために測定の頻度を高めることが望ましいこともご理解いただけたと思います。しかし、生産現場の気持ちは「できるだけ測定にかかる時間を短くしたい」ではないでしょうか?


 弊社も含め、測定機器メーカーは測定精度の追求とともに測定効率を上げる(時間短縮)ことも重視して開発を進めていますし、お客様からも要求されています。そこで、今回は測定時間の短縮につながる測定機器の事例をいくつかご紹介します。

 

<自動化・センサ組み込み治具>

 

 一定間隔での測定や同じ測定を繰り返し行うなど、現在の測定が手動操作に頼っているならば、自動動作する測定機器へ更新することで一気に効率が上がります。測定時間の短縮はもちろん、測定品質の安定や信頼性の向上などのメリットもあります。変位計を組み込んだ治具も効率化にお勧めですが、中国で変位計の販売が急増しているのは組み込み治具に使われているからだと考えられます。

 

<駆動速度(測定時間の短縮)>

 

 近年の三次元測定機や画像測定機などでは、駆動速度や加速度を高めることで測定および移動の時間を短縮しています。大型や測定箇所の多い被測定物であるほど高速度の恩恵は大きく、少し前の機種と比べてトータルの測定時間が約半分になることもあります。測定精度とともに、駆動速度も機種選定時の比較項目にするべきですね。画像センサやレーザを使った非接触式測定機は、接触式に比べて高速測定が可能な特徴もあります。自動車のパネル面全体の凹凸を把握したい場合は、ラインレーザやカメラ方式の測定機による多点データの取得が現実的です。
 

 測定工具にも革新的なモデルがあります。一般的なマイクロメータはリードピッチが0.5mm/回転ですが、2.0mm/回転や10mm/回転などの機種も販売されています。特に段付き棒のように寸法が違う複数個所を測定する場合には、その時間短縮の効果を体感できます。

 

            マイクロメータのリードピッチ

 

<複合化(段取り替え不要)>

 

 三次元測定機には、異なる用途の複数の検出器を自動交換しながら連続測定するシステムがあります。例えば画像測定用と表面粗さ測定用の検出器を組み合わせれば1台3役となり、段取り替えの時間が不要となり、トータルの測定時間の短縮になります。同様に画像測定機にタッチプローブを追加すれば、上からは見えない側面や奥部の測定も可能となり、使い勝手の良い測定機になります。

 

<オフラインプログラミング>

 

 パートプログラムによって同じ測定手順を繰り返し実行する測定機は便利ですが、その測定手順を作成するための工数は測定箇所が多いほど時間がかかります。一般的には被測定物を実際に測定しながら測定手順を作成しますが、近年は3D-CADデータを疑似モデルとして測定手順を作成することが可能になっています。事前に測定手順を準備できるため、トータル時間の短縮が図れます。さらには、最適な測定手順を自動生成するソフトウエアもリリースされています。

 

                測定手順の事前準備

 

<まとめ>

 

 上記の機能や仕様以外にも、「時間短縮」を実現するための測定機器や機能が各メーカーから提案されています。測定精度は当然ながら、測定効率向上のための機能や拡張性を確認しましょう。

 


引用:
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