計測に関する豆知識 第6回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしています。今回は「計測のトレーサビリティ」についてのお話をさせていただきます。

 

<その測定機器の信頼性は?>

 

 あなたは、「その測定結果(数値)は信頼できますか?」に対して、明確に答えることができるでしょうか? たとえ測定結果が図面に指示された寸法公差に入っていても、測定機器そのものに信頼性がなければ自信をもって「合格品です」と言えませんよね? 計測を行うためには、まずは「信頼できる測定機器」であることが必要となりますが、その証明のためには今回のトレーサビリティの考えが必要となります。

 

<トレーサビリティと校正>

 

 測定機器の信頼性の証明には、第三者から信頼されている基準との比較を行う手法が用いられます。使用する測定機器よりも信頼性の高い基準と比較することで測定能力を判断できますが、その基準の証明にはさらに信頼性の高い基準と比較します。さらに……と、より上位の基準との比較を繰り返すことで最終的にその国の長さの最上位である「国家標準」までつながります。この、切れ目のない比較の連鎖をトレーサビリティといい、測定機器や基準の能力を示すことを「校正」と言います。

 

 図 1 は、ブロックゲージの例で、A が校正機関の標準として D までのつながりを表しています。

 

 

 このトレーサビリティを証明した「校正証明書」によって、ブロックゲージ D を使って精度確認を行った測定機器の信頼性を担保することができます。
 

 社内では測定機器用として B を一次標準とし、C の二次標準、D の現場標準のブロックゲージを用意しましょう。B は外部の校正業者に委託しますが、B → C → Dのトレーサビリティ管理は社内で行うことが可能です。

 

 ちなみに、校正証明書には測定機器の精度と不確かさ(前号の「“ 計測の不確かさ ” について」を参照)が明記されますが、当然ながら上位の基準ほど不確かさが小さくなります。また、校正は測定機器の能力を証明することですから、認定された校正機関が行っています。日本では JCSS が、中国では CNAS が認可を行っています。

 

<国際認証>

 

 グローバル取引が当然になっているものづくりの現状では、国内だけのトレーサビリティでは不十分ですが、国ごとに校正証明書を取得することは大変手間がかかります。しかし、国家標準を相互認証している国家間であれば個別の取得は不要となります。これは MRA と呼ばれ、ILAC が認定したMRA 対応認定事業者であれば、国際的に通用する校正証明書を発行できます。

 

 

<まとめ>

 

 正しい計測は、信頼できる測定機器を用いることから始まります。あなたが使用しているその測定機器はトレーサビリティを証明できますか? 一度確認をしてみましょう。

 

【用語】

JCSS (Japan Calibration Service System) 計量法校正事業者登録制度
CNAS (China National Accreditation Service for Conformity Assessment) 中国合格評定国家認可委員会
ILAC (International Laboratory Accreditation Cooperation) 国際試験所認定協力機構
MRA (Mutual Recognition Arrangement) 多国間相互承認協定

 


引用:
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