計測に関する豆知識 第5回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしています。今回は「測定の不確かさ」についてのお話をさせていただきます。「不確かさ」と聞くと多くの方は「複雑な計算が必要で難しい話になりそう」と思われるでしょうが、今回はそこまで踏み込みませんので安心してください。

 

<不確かさの概念>

 

 例えば、ある長さを測定して「100 mm」と表示された測定値には、真の値に対して多少の疑わしさが含まれています。この疑わしさを「測定の不確かさ」と言います。

 

 不確かさの要因として、測定機器、測定ワーク、測定環境、作業者の技能などがあります(表1)。不確かさを把握することは、正しい計測を行うために必要な要因を把握することになります。尚、作業者が犯すミスなど、注意深く作業しかつ作業をチェックすることで回避できるものは不確かさの要因には含まれません。

 

 

<不確かさと誤差の違い>

 

 「誤差」と「不確かさ」をよく混同してしまいますが、二つは別の意味になります。「誤差=測定値-真の値」と記述できますが、「真の値」は本来分かりませんので、誤差の値は求まりません。不確かさは、疑わしさの量を統計手法を用いながら数値で表しています。

 

<不確かさの数値化>

 

 不確かさを表す場合、「区間」と「信頼の水準」の 2 つの指標を組み合わせることになります。

 

 

 例えば、ある長さを測定して「100 mm」と測定値が得られた場合、「これは 100 mm プラスマイナス 2 mm の長さで、真の値がその範囲にある信頼性は 95 % である」のような表現が望ましいと言えます。これを表記すると、「100 mm ± 2 mm(信頼水準 95%)」になります。

 

<不確かさの求め方>

 

不確かさの算出は以下の流れになります。

 

1. 測定を行います。ここでは、測定機の表示が 100 mm を示したとします。


2. 測定の不確かさを要因ごとに算出し、合成標準不確かさを求めます。一例として「測定機の分解能」「校正の不確かさ」「置き方による差」の 3 つを要因としていますが、それぞれの数値の求め方は割愛させていただきます。

 

3. 包括係数:k を決め、区間(拡張不確かさ)を求めます。一般的にはk = 2が使われます。

 

4. 結果として、不確かさを考慮した測定結果を表記する場合、今回の測定では下記になります。

 

 この例での測定において、「これは 100 mm プラスマイナス 1.82 mm の長さで、真の値がその範囲にある信頼性は 95 % である」ことを表しています。

 

<まとめ>

 

 不確かさは測定のばらつきを表します。測定機の精度が良くても、使い方によっては求める測定性能を得られないことがありますが、不確かさの評価を行うことにより、測定の信頼性が分かります。


 また、要求精度と不確かさを考慮して測定機器を選定することで、品質保証が可能となります。測定機器の校正証明書に不確かさを表記することも始まっていますので、一度確認してみてください。

 

 


引用:
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