シリーズ : メコンの経済回廊 [2014_10月(Oct)]



若く豊富な労働力

    近年進出先として注目されている中部サワンナケートでは、日本の大手第一号としてニコンが昨年10月に工場を完成させた。タイ中部アユタヤ工場で生産するデジタル一眼レフカメラ向けのトップカバー、背面カバーといったユニットを組み立てる。部品は全量、タイ中部アユタヤの基幹工場からタイ・ラオス第2友好橋を越え、ラオス側約20キロ地点の工場に運ぶ。組み立てたユニットはタイに戻し「メードインタイランド」の完成品にして出荷する。

    ニコンラオスの村石信之社長(当時)は今年3月、日本から視察団を迎えたセミナーで、「ラオスの若い労働力が魅力的」と指摘。「タイ人技術者を活用し、スムーズな工程移管と高い生産性を実現できると判断した」と語った。

    カンボジアのプノンペンSEZなどが出資する「サワン日本合同開発社」が日系専用工業団地として開発するサワン・セノSEZ・B地区には、ニコンのほか、サプライヤーの光陽オリエントジャパン(埼玉県上尾市)の工場も稼働。他のサプライヤーの進出にも期待を示す。

    同じサワン・セノSEZのC地区では5月下旬、トヨタ紡織が新工場を稼働させ、自動車用シートカバーの生産を開始。タイのサテライト工場と位置付け、タイ東部チャチュンサオ県で行うシートカバーの裁断、縫製、組み立ての能力を引き上げるため、前工程に当たる裁断、縫製の大半をラオス工場に移管した。

南部パクセは中小誘致

    三菱マテリアルは4月上旬、首都ビエンチャン郊外のビタ・パークSEZに白物家電向けセンサーの工場を設けると発表した。タイ工場で上工程を行った後、ラオスで下工程を行う。同SEZには日系第一号として第一電子産業 (兵庫県尼崎市)が2工場を稼働させており、三菱マテリアルとも取引を見込む。

    同SEZは、台湾系ナム・ウェイ・デベロップメント(南偉開発)が開発する。国道13号線から2.1キロ奥まった団地までの誘導道路などの整備が遅れていたが、8月には正面入り口の門やSEZ内の通関事務所が完成、インフラが整ってきた。首都ビエンチャンは日本人駐在員の生活環境はラオスの中では最も良い。

    南部チャンパサック県のパクセでも、日本の中小製造業向けにSEZを整備する動きが進む。県と地元の建設大手ライサオ・グループ、日本留学経験のあるワンダナ・ポンマサテット氏のコンサルティング会社サワンTVSが650ヘクタールの土地で事業化調査(FS)を実施。遠からずSEZとして認可される見込みだ。

    ビエンチャンやサワンナケートに大手企業の進出が相次ぐ中、「パクセ・ジャパンSME・ SEZ(仮称)」と銘打って中小企業の誘致を目 指す。

    SEZとなる見込みの地域では、着物のアンドウ(京都市下京区)、「レオンカ」ブランドのウィッグを生産するフェザー(大阪市城東区)、精密コイル製造ジャパンテックの3社が工場を開設済み。さらに進出を控える企業もある。

    ラオスでは安い労働力を活用できる上、SEZに進出する税制面でのメリットが大きい。特区外では首都ビエンチャンなど主要投資先の場合、法人税免除期間が事業開始から最大4年と事実上メリットはほとんどなかった。これに対してSEZ内では、利益計上の年から最大10年間、免税恩典を受けられる。個人所得税も外は累進で最大25%、内は一律5%となる。



メコンの物流ハブに

    内陸国で経済発展が遅れていたラオスだが、東西経済回廊や国境橋、主要国道の活用が広がる。ラオスのトラックはベトナム、タイ、カンボジアのどの国へも乗り入れられるという強みもあり、国際物流大手の日新(横浜市中区)は「物流ハブ」としてのラオスに期待。サワンナケートを拠点に、タイ最大のレムチャバン港や、新たに産業集積が進むベトナムの首都ハノイを結ぶ越境輸送に力を入れる。

    陸送は荷量がまだ少なく、片荷になりやすい。それでも、ラオスの工場労働者の実質賃金はタイの4分の1とも言われ、物流コストが多少かさんでも十分に相殺できる。大メコン圏(GMS)の一体化とともに、ラオスへの期待は高まっている。

(The Daily NNAミャンマー版の記事を、同版編集部が再構成。写真は2014年3月、NNA撮影)




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