計測に関する豆知識 第3回

 

 本連載では、ものづくりに欠かせない「計測」に関して、豆知識的な情報をテーマにしています。今回は「測定精度」についてのお話をさせていただきます。

 

<器差>

 マイクロメータやノギスの仕様に記載されており、JIS では「測定器が示す値から真の値を引いた値」と定義されています。器差=± 0.5µm のマイクロメータで10mm の測定値を得た場合、10mm ± 0.5µm なので、9.9995~10.0005mm の間 に真値があることを示しています(実際には不確かを加味しますが、その話は別の機会に回します)。

 

<指示精度>

 測定レンジが長くなると器差は誤差が大きくなるため、三次元測定機などでは指示精度で表されます(図 1. 参照)。

 例えば指示精度= ±(2+3L/1000)µm と記載されている三次元測定機で 300mm の長さを測定した場合、各要素は「 A=2µm」、「 L=300mm」、「 B=3/1000」となり、指示精度= ±2.9µm と算出されます。 測定機の精度をカタログで比較する時、初項 A の大小に目が行きやすいですが、実際に測定したい長さから算出した指示精度で比較しましょう。

 

 

<回転精度>

 真円度測定機の仕様に記載されています。幾何学的に誤差がゼロの物体の真円度で評価した場合を半径方向の回転精度、平面度を評価した場合は軸方向の回転精度と言います(図 2、3 参照)。幾何学的に誤差ゼロの物体は存在しないため、測定機単独の回転精度を求めるには被測定物の 2 次以上の形状成分の除去演算が必要です。

 

 

<繰り返し精度> 

 同一の測定条件で同一の測定量を繰り返し測定した結果の最大-最小の差になります。最近の測定機には精度補正機能を有する機器がありますが、“ 補正 ” には、繰り返し精度の高い測定機が必要です。

 

<再現性>

 被測定物の脱着など、測定条件を変更して同一の測定量を測定した結果の最大-最 小の差で、測定機器以外の要因も含まれます。被測定物の設置方法が悪ければ、せっかくの高精度測定機の能力を発揮できませんから、計測システム全体でのチェックが必要です。

 

<最小分解能(最小表示桁)>

 最後に、測定精度とよく混同されている語彙について。最小分解能はデジタル処理で得られる数値であり、測定精度を表してはいません。たとえ最小分解能が0.001 μ m だとしても、測定精度が 0.1 μ m で保障されている測定機器の場合は無駄な表示桁であり意味がありません。精度比較を行うならば、目盛の細かさ(最小分解能)ではなく、目盛の信頼性(精度)を比較するべきなのです。

 

<まとめ>

 現在使用されている測定機は、被測定物に求められる精度に適した選定をされていますか?私が入社してすぐの頃、先輩から「この内径Φ 20mm の測定に、どの測定機を提案する?」と質問をされ、当時習ったばかり の「三次元測定機!」と答えたことがあります。要求によっては間違いではありませんが、今の私ならコストも考慮して最初はシリンダゲージを提案するでしょうね。“ 精度 ”を理解し、要求に合った測定機の選定を行いましょう。

 


引用:
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