MRJ の開発遅れを尻目に 虎視眈々と世界を狙う ARJ21

 

 「日本経済新聞」(7月1日付)によると、日本の国産ジェット旅客機「MRJ」を開発中の三菱重工の子会社・三菱航空機(愛知県豊山町)の 2017 年3月期の最終損益は 511億円の赤字で、510億円の債務超過になったことがわかった。納入の遅れが原因だが、航空機の開発は容易ではない。

 

 旅客機に関しては、中国の方が先行している。中国政府は、2008 年に旅客機の開発・製造を目的に「中国商用飛機 有限責任公司」を設立した。奇しくも、 三菱航空機の設立と1カ月違いである。 しかもいずれも、座席数が 50 ~ 100 席程度のいわゆるリージョナルジェット機をターゲットとしている。

 

 しかし、そのスピード感は中国の方が上だ。MRJ の初飛行は 15 年 11 月だったが、中国商用飛機が開発する「ARJ21」の初飛行は 08 年。15 年 11 月には、成都航空に ARJ21-700 を初めて納入し、16 年6月には、成都−上海便が就航している。すでにインドネシアやラオスなど海外からも受注している。

 

 中国工業・情報化部の発表によると、7月9日、中国民用航空局は中国商用飛機にARJ21-700 の生産の許可証を授与した。これにより、正式に量産体制に入るという。

 

 

需要拡大も競争は激化

 

 グローバル化の進展に加え格安航空会社(LCC)の台頭もあり、世界の航空需要は右肩上がりである。日本航空機開発協会(JADC)は、そのトレンドは今後も変わらず、世界の航空旅客数は、2036 年には16 年比 2.4 倍の 17 兆 4267 億人キロメートル(RPK =有償旅客が搭乗し、飛行した輸送実績)に達すると予測する。アジアでは特に中国の成長率が高く、6.1% と予測している。

 

 運航機数についても、中国は 16 年末で3012 機と世界第3位であるが、36 年には 7948 機となって北米を抜き、欧州に迫る第2位の市場となる見込みとしている。 これらの予測を見ると、航空機市場の将来は有望のように見えるが、必ずしもそうとはいいきれない。

 

 

 リージョナルジェット機についていえば、JADC は、運航機数が 16 年の 3195 機から 36 年には 4099 機に増加する予測している。確かに需要は拡大するが、運航機数全体におけるシェアは、15% から12% に縮小する。 プレイヤーについても、大型機がボーイングとエアバスによる寡占状態であるのに対し、リージョナルジェット機には、ブラジル・エンブラエルやカナダ・ボンバルディアなど数が多く、競争はますます激化している。ここに中国商用飛機が加わると、三菱航空機が生き残っていくのは容易ではない。三菱航空機は国の支援を受けているものの、国有企業の潤沢な資金力には及ばないし、中国商用飛機には、中国国内の旺盛な需要というアドバンテージがある。三菱航空機は信用を得るためにも、一刻も早い開発が求められる。


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