Hiromitsu Tecnoart (Thailand) Co.,Ltd.


タイで高まる試作需要
顧客の「こんなのが欲しい」に応える

Hirimitsu Tecnoart (Thailand) Co.,Ltd.


Hirimitsu Tecnoart (Thailand) Co.,Ltd.


    とある平日の昼下がり。東部チョンブリー県シーラチャーのピントン工業団地内にあるHirimitsu Tecnoart (Thailand)の構内工場。ここで同社のタイ人技術者たち数人が、自動車部品メーカーからの依頼を受け、歪みの生じた板金部品の一つひとつに矯正を施していく作業に追われていた。残る納期まであと数日。専用台車に積まれた部品点数はおよそ数百。短調ながらも精度と根気が求められるハンマーと素手の完全なる手作業。こうした黙々としたハンドワークの技術が、板金試作加工を業とする同社の力の源泉だ。


    三重県鈴鹿市にある板金試作加工業「テクノアート」を母体とし、2011年7月に設立されたのが同社。自動車産業が集積するタイで、新型車種の開発支援を行うために4年前に進出を決めた。開発研究(R&D)における板金試作を得意とするが、「本格的なR&Dの浸透までにはあと5年から10年はかかる」(畑守靖之社長)というタイ市場。現在は、始まったばかりのR&D市場の成長を温めながら、「何でも屋」として顧客の「困り事」を解決しているのが日課だ。顧客の要望を聞きながら、ほとんどの求めに柔軟に対応している。組立メーカーに部品を納める一次サプライヤーにとって、今ではなくてはならない貴重な戦力。タイでライバルは、まだ数少ない。


    試作はマニュアルがない職人の仕事。顧客の「こんなのが欲しい」「こんなふうにして欲しい」を受け、三次元に書き換え、それをさらに現実の部品として落とし込む難度の高い作業だ。しかも、往々にして納期は短い。「顧客から頂いた図面やCADデーターを見て、即座に脳裏に図面を描き、コンピュータで工程を設計し、全工程をほぼ同時に効率的に稼働させる。そうしなければ顧客の短納期、高品質という要望に応えることはできない」と畑守社長は言い切る。

Hirimitsu Tecnoart (Thailand) Co.,Ltd.

写真 左:パワーウィンドウレギュレーターのブラケット 中央:二輪のマフラー部分 右:ポータブルスポット溶接機


    工場内にある試作用金型のZAS鋳造設備、三次元レーザー加工機、油圧プレス機などのラインに向かうのは同社のタイ人技術者たち。日本から派遣されたスーパーバイザーが技術の伝達役。スキルを磨き、顧客の需要と納期に応じていかなければ、とても市場の拡大に太刀打ちできない。「初年度はトラブルだらけ。次の1年でようやく形になって、小物なら何とか対応できるレベルに成長した。今後はスーパーバイザーが不在でも、常に万全の応対ができるように技術を磨いていきたい」と話す。


    タイ政府・BOIの付加価値産業に対する恩典付与もあって、R&D・試作需要は緩やかながらも拡大を続けている。「東南アジアの仕事は東南アジアで完結していこうという流れを感じる。タイ国内でも板金試作ができるという認知が深まっているように感じる」と畑守社長。最近は、PC機器やサーバーラックなど自動車以外、電気電子分野でも注文が舞い込むようになった。


    とはいえ、こうした試作等の市場が現状において無制限に拡大していくとも見ていない。大手企業による進出の動きも脅威だ。「だから、ウチは大手が手を出さないようなニッチな市場を取りに行きたい」と畑守社長は戦略を練る。多くの一次サプライヤーが、特定の自動車メーカーの事実上の〝系列〟として位置付けられるのに対し、「それがないフットワークの軽さが当社の強み」だとも。こうした受注を確実に押さえることで、タイ市場におけるポジショニングを確かなものにしようとしている。


    市場のサイクルが早いことにも注視をする。特に電気電子の分野でそれは大きい。市場の波と揺れ。顧客の期待に応えるのと同時に、市場動向を正確に把握することも必要と考えている。当面はタイを中心にマレーシアとインドにも事務所を置き、リスク分散にも備える構え。3月中には新たに、ポータブルスポット溶接機も4台導入され、複数部品の溶接組立も可能となる。いよいよ、タイにおけるR&D元年。乗り遅れるわけにはいかない。


Hirimitsu Tecnoart (Thailand) Co.,Ltd.




Hirimitsu Tecnoart (Thailand) Co.,Ltd.

住所:3150/75 Moo.9 Tambol Nongkham, Amphur Sriracha, Chonburi 20110

日本人窓口:President:畑守 靖之(Mr. Yasuyuki Hatamori)

タイ人窓口:Sales Engineer : Mr,Padungkiat Kleowpian (日本語可)

TEL:038-347-355


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