Sodick (Thailand) Co.,Ltd.

 

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    「内需不振、為替差損、政治不安。混迷の時代だからこそ、前向きで実りのある提案型の営業を続 けていきたい」。こう語るのは、コンピュータ数値制御(CNC)放電加工機メーカー、ソディック(本 社・横浜市)のタイ法人Sodick (Thailand) Co., Ltd.の森直樹Director。操業から20年後の2010年11月 に着任し、任期は間もなく満5年を迎える。現場を子細まで踏み込み、物事を探るのを 信条としている。人脈はライバル他社の垣根を超え、今やタイローカル間でも知られる様になっ てきた。その森氏にタイの工作機械市場を取り巻く現況と課題について解説してもらった。


深刻な市場の沈下 タイ経済の「三重苦」


    インタビューの冒頭で、森氏が取り上げた 一つのデータが、タイ市場の現状をまざまざ と実証してくれた。今年1~5月にかけてのタ イにおける工作機械の日本からの輸入実績。 三国間貿易分も含めると前年同期比マイナス 約60%は、近年ではかつてなかったほどの 落ち込みぶり。「それほどタイ経済沈下は深 刻」と森氏。「1997年のバーツ危機、2008 年のリーマンショック、そして今。自動車業 界を中心に、2015年中の回復はまだ難しい 状況。日系企業のみならず、そのサポート役 として実力を付けてきたタイのローカル企業 も、厳しい局面に立たされている。こうした 中で今、我々が出来る事、すべき事は何か」 と。

 

    家計債務の上昇やエコカー減税策の反動な どから、一気に冷え込んだタイの自動車内 需。2014年の国内販売台数は対前年比34%と かつてないほどの激減幅で、一気に88万台に 落ち込んだ。生産台数も24%減の190万台と 冷え込み、自動車メーカー各社、部品各社は 一様に減収となってダメージを受けた。今年 になっても状況はほとんど回復せず、上期(1 ~6月)の国内販売台数は前年同期比16.3%減 と低迷したまま。「このままでは下半期に持ち直したとしても、年トータルで80~85万台 にとどまる」とタイ工業連盟(FTI)の自動車 部会も読む。生産台数も同様で、7月下旬には 通年の総生産台数予測を今年2回目の下方修正 となる215万台から205万台に引き下げるほど だった。

 

    為替も不安定で生彩を欠いたまま。タイ 経済の低迷で対バーツでは若干の“円高”に揺 れ戻してはいるものの、世界経済における 位置づけでは相変わらずの円安基調。となる と同時に進むのが、モノづくり業界における 日本回帰だ。1985年のプラザ合意による円 高以降、少コスト技術を確立し、付加価値を 高め、次々と東南アジアなど海外市場に進出 した日本の製造業。海外では難しいとされた 短納期の実現や自動化技術の向上にも力を入 れ、円高市場をどうにか克服してきた。とこ ろが、ここに来てまさかの円安転換が待ち受 けていた。「ここまでの円安水準が定着し てくると、わざわざ海外で生産しなくてもい い、日本で生産しようという日本回帰現象 が出てきても不思議はない」と森氏は分析す る。


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    タイの国内市場に吹くもう一つの大きな逆 風が、この地では不可避ともされる政治・国 内のリスクだ。昨年5月の軍事クーデター、そ れに続く暫定軍事政権は海外、取り分け先進 諸国からの投資を結果として抑制してきた。

     国内にはなお続くタクシン派と反タクシン派 との対立抗争。暫定政権は「国民和解」を何 度も進めようとはしてみたが、対立の溝を埋 めるまでには至っていない。一方で、タイ国 民の7割が軍事政権を支持しているとされ、 所得の上昇もあって労働賃金は急カーブを描 いて上昇するという「中進国の罠」も現実化 しようとしている。日系製造業を中心に企業 の中には周辺国への工場移転を模索する動き も広がっている。産業空洞化への懸念。こう した現状をソディック・タイランドの森氏は 「まさに、タイ経済の三重苦」と形容する。

 

傍観していてはダメだ ムードづくりこそが必要


    内需不振、円安基調、政治・国内リスク。 タイが抱える不安材料が一気に表面化し、そ れが国内経済を覆っているのが昨今の状況な
のだという。しかし、森氏はそれらを一方的 な「不安材料」とは絶対視しない。 「すでにタイに進出し、安定的な生産体制で 輸出基地としての基盤が確立している日系製 造業においては、大きな問題とはならないと 思う」


    厳しい車関連業界にあっても輸出向け製品 の生産を前年比相当量アップで上げている会 社もある。「それに…」と森氏は続ける。 「内需がいつまでも低迷しているとは思えな い。販売不振の自動車メーカーも販促に動き 出している。為替について言えば、現在の一 時的なバーツ安が恒久的に続くとも思わな い。国内政治も同様で、現政府もようやく経 済対策に本腰を入れ始めた」 森氏が言いたいのは、こうした“有事”の時 だからこそ、「前向きに、頭の中でイメージ し実行する必要がある」ということだ。例え ば、年末に発足予定のアセアン経済共同体 (AEC)。道路整備の遅延や交通需要の見込 みが不透明なことなどを理由に経済効果を疑 問視する声が散見される。 「AECは、段階的に進んでいくと思う。そこ には将来に渡り大きなマーケットが創出され るという夢があり、国全体がベクトルを合わ せて進む事は非常に良い事と思う。そのロー ドマップの途中に幾つかの新たな需要が生ま れてくるはず」 国内市場でも同様と考える。国際見本市や 展示会、各種イベントが盛んなタイ。森氏は 「今後、アセアン地区での製造業の統括拠点 となっていくタイに於いて、それを見越した もう少し深みのある展示会運営や出展を心掛 けたい。見本市や展示会は、ムードづくりが とても大切。そのために必要なことは、日頃 から提案型の営業を心がけること。何をどう すれば良いのか。改善、改良、探求。チャレ ンジすることを諦めないこと」と語る。

 

新型機種「金属3Dプリンタ」 を市場投入/壁を乗り越える のがソディックの原点


    そうした一貫としてソディック・タイラン ドは、今年5月から新型機種の金属3Dプリン タ「OPM250L」をタイ市場に投入した。樹 脂タイプの3Dプリンタがようやく広がりを見 せ始めたばかりで、タイはおろか日本でもま だまだ金属粉末タイプが少ないのが3Dプリン タ業界。タイで先駆的に投入を始めた狙いに ついて森氏は、産業が集積する統括拠点タイ で今後、設計や研究・開発(R&D)の要請が ますます高まっていくだろうという点を挙げ た。「主たるターゲットは、金型・試作開発 セクションを持つ企業と考えている。少ロッ ト特注品の部品加工に於いても納期短縮が可 能」と説明した。一方で、日系企業に牽引さ れる形で、ローカル企業も相当に力を付け始 めたのがタイの製造業。 「若いタイ人の技術者やデザイナーたちが 育ってきている。彼らは、頭が柔らかい。技 術的なファンダメンタルでは及ばなくても、 日本人には気づかない有用な使用法を編み出 してくれるかもしれない」 そう森氏は期待している。


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    ソディック・タイランドでは、来るMETALEX にこのOPM250Lを出展していく計画だ。 「OPM250Lは、従来の金属加工機とは大きく 位置づけが異なります。3Dデータさえ有れ ば後はボタンを押すだけ。数時間後には製品 が完成しているのだから。OPM機が新しい需 要を創り出してくれるかもしれない。壁を乗 り越えていくのが、ソディックの原点です。 もちろん、主力の ワイヤーカット機・ 放電加工機・高速 ミーリング機・射出成型機も積極的に営業展開していきます。 今度の展示会では新機種も投入する予定」 と森氏。あくなきチャレンジャーという言 葉が、一様に相応しいと思った。

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Sodick (Thailand) Co., Ltd.

60/84 Moo 19, Soi 19, Navanakorn Industrial Estate  Zone 3,

Phaholyothin Road., Klongnueng, Klongluang, Pathumthani 12120 Thailand

☎︎02-529-2450~6 :02-529-3626     

http://www.sodick.co.th

操業:1990年4月

生産能力:月産約150台

 

 


引用:
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