Grant Thorntonコラム 第2回 税務(関税、税務調査)と労務編

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はじめに
 今回は前回に引き続き税務面(関税、税務調査)と労務面を、実務例の多い事業譲渡と吸収合併について比較しながらご説明します。

 

税務面(税関)
 存続会社の経営範囲に中国「外商投資産業目録」の奨励類に該当するプロジェクトがあり、そのプロジェクトに使用される設備を輸入する際、「輸入設備税収政策の調整に関する通知」国発【1997】第37号の規定により、設備にかかる税金が免除されていたとします。


 事業譲渡の場合、中国の税関は、免税対象機械設備等に対し、輸入許可日から5年間の監督期間を設けています。監督期間終了日に、免税設備の用途を変更・譲渡・処分する場合、所轄税関に監督除外の申請をし、関税および延滞税等を国に納付しなければなりません。


 合併の場合、中国の税関総署が交付した署法【2000】第36号通知に基づき、合併後継続法人は所轄税関にて変更登記が必要です。所轄税関は、合併消滅法人から当該法人に移転される免税設備にかかる優遇税制の継続適用を査定します。


 所轄税関の担当者への確認によって「合併消滅法人から引継ぐ免税設備が、合併存続企業の免税申告項目及び、免税限度額の範囲内であれば、税金を追徴する必要はない」との回答が得られれば、免税での引継ぎが可能ですので、消滅法人の免税設備を、存続法人に移転する前に、存続法人の奨励類産業の申請項目及び免税限度額を確認すべきです。


税務面(税務調査)
 事業譲渡の場合、中国企業は、解散許可日から7日以内に解散の事実を所轄税務局に通知しなければなりません。その後税務局は、解散会社に対し税務調査を実施。調査が完了し、修正申告書が受理されなければ、税務登記の抹消ができません。実務上、調査期間が半年以上の企業も多いようです。最近の税務調査では、移転価格税制や外国法人のPE認定課税について指摘されることが多く、事前に税務リスクを調査する必要があります。


 一方、合併の場合には、存続法人は消滅法人の資産・負債(税金債務を含む)を包括承継するため、解散の場合と同様の税務調査は行われません。


労務面
 08年1月から、中国の[労働契約法]が施行され、従業員と労働契約を解除する場合、一定の経済補償金が発生します。経済補償金は、かかる従業員のA社における勤続年数に応じて、1年ごとに1ヵ月の給与を基準にして支払います(勤続年数が5年であれば5カ月分)。勤続年数が6ヶ月以上1年未満の部分は勤続年数を1年として1ケ月分の経済補償金を支払い、勤続年数が6ヶ月未満の部分は半月の給与を経済補償金として支払います。対象勤続年数は最高で12年を超えないこととされています(労働契約法第47条)。


 なお、給与基準は、労働契約解除時から遡って12カ月の平均給与から計算(12カ月以内に支給されたボーナス、残業代、手当も含む)されます。


 事業譲渡の場合、A社がその事業をB社に譲渡する際、従業員は一旦A社と労働契約を解除した上で、B社と新たな労働契約を締結することになり、経済補償金が発生します。


 合併の場合、中国の[労働契約法]第34条に基づき、合併存続法人が消滅法人の従業員と労働契約を引き継いだ場合は、労働契約の解除ではなく、契約の変更と見なすことができ、解除に伴う経済補償金は発生しません。但し、存続企業が被合併企業の従業員と労働契約を結ばない場合、契約の解除とみなされ、経済補償金が
発生します。


おわりに
 同じ内容の事業統合でも、組織再編の手法により発生し得るコストやリスク、再編にかかる時間が異なるため、事前に専門家による調査を実施し、貴社にとって一番良い再編スキームを検証されることをお勧めします。

 

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