中国会計・税務実務ニュースレター 第5回

 

2015年3月18日の中国国家税務局による「企業の国外関連者への費用支払に係る企業所得税問題に関する公告」(国家税務総局公告[2015]16 号、以下「16 号公告」)の公布・施行後、本テーマに関連する税務調査が各地域において行われるようになりました。今回は、税務調査における思わぬ落とし穴シリーズの第二弾としてロイヤルティ税務調査事例及びその対応ポイントを紹介します。

 

1.事例

➢調査対象会社の概要

中国香港法人A社はその100%出資の化学製品メーカーである中国法人B社から年間売上高の5%に相当するロイヤルティの支払いを受けています。なお、A社はアジア地域を統括する持株会社であり、そのロイヤルティをさらに日本親会社に送金しています。

 

➢税務調査

16号公告に基づき、税務局は税務調査を行い、次の資料及び説明等をB社に求めました。

  • ①無形資産の内容・計上時期等に関する説明資料
  • ②A社の経営状況及び機能・リスクの分担に関する説明
  • ③B社の研究開発部門の組織構成及び研究成果
  • ④ロイヤルティ料率が中国同業他社の料率(1%)より高いことに関する合理的な説明その他
  •  

2.中国子会社B社の対応及び税務局の指摘

➢中国子会社B社の対応

税務局の求めに対し、B社は主に以下のように対応しました。

  • ①無形資産(ノウハウ)に秘密情報が多くあるため、提出できない旨を通知
  • ②A社の年次報告書、申告書、監査報告書及び人事組織図を提出
  • ③B社研究開発部門の人員構成及びハイテク法人認定用の申請資料を提出
  • ④日本親会社及びA社のコスト(海外事業部人員給与と出向負担金、外注費など)及び費用(間接費の配賦、出張旅費など)並びに利益の明細を提出

 

➢税務局の指摘

B社から上記の対応を受け、税務局は以下のような問題点を指摘しました。

  • ①A社は持株会社であり、無形資産の創出機能はない。一方、B社はハイテク認定法人であることから、A社に対するロイヤルティの支払い行為が実質性のない取引であると認定し、損金算入を否認する。
  • ②日本親会社及びA社は、高コストを計算上B社に配賦したに過ぎず、合理性を認めない。
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3.落とし穴及び対応ポイント

本件において中国子会社B社の税務調査対応における落とし穴と対応ポイントは以下の通りです。

 

  • ①B社書類提出の不備
  • B社は優遇税制適用のためにハイテク認定法人を申請したものの、ロイヤルティ支払先であるA社の地域統括機能に関する十分な説明を怠ったため、A社に対するロイヤルティの支払いが実質性のない取引であるとの誤解を与えてしまったおそれがあります。A社は、日本親会社が創出した価値ある無形資産のライセンスを受け、その無形資産をB社にサブライセンスしている事実を、中国、中国香港のみならず、日本も含めた全体的な書類を提出し、説明する必要があったと思われます。

従って、無形資産に係るリスク、機能の分担を日本、中国、中国香港から構成されるグループ全体の観点から説明することが重要で、三者間が協力して税務調査に対応することがポイントになると思われます。

 

  • ②無形資産の証明・比較可能対象法人または取引の立証
  • 日本親会社が創出し、A社からサブライセンスされている無形資産の価値を裏付ける書類を整備するとともに、第三者間であっても、売上高5%相当分のロイヤルティ授受を妥当とする比較可能対象法人または取引を立証する資料を用意できるかどうかとに尽きると思われます。

 

お見逃しなく!

国家税務総局は2015年9月17日に従来の「特別納税調整実施弁法」(2号文)の改訂版として意見募集稿を公布しました。同意見募集稿には、16号公告の内容を踏まえた無形資産の章が初めて設けられました。今後、関連者間による無形資産に係る対価の支払いに関する移転価格上の規制は、より一層の客観性が要求され、当局の解釈も厳格になると思われます。

 

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