シンガポールの医療システム

singapore

 

先日ある日本の歯科医と話していた際、彼はこんなことを言っていた。

 

「日本の医療システムは健康保険制度のために高度医療の発達が阻害されている。患者に対価を払うという意識が低く、医療の価値が軽く見られている。メディカル・ ツーリズムを起こし中国から患者を呼び寄せようという動きもあるが、結局シンガポールなどの方が発達していてそちらに流れていく。きちんとした対価を受益者が支 払う仕組みであれば状況は異なるはずだ」 

 

私は、平均値が高く誰もがそれなりの医療を受けることが出来る日本の健保システムはデメリットよりもメリットの方が大きいと多少の反感を感じながら彼の話を聞いていたのだが、いっそシンガポールの状況はどうだったのかこの際きちんと押さえてみたいと思った。

 

実はシンガポール人の平均寿命はWHOの2013年の統計で83歳と日本に次ぐ第2位の位置にいる。男性の場合は81歳でこちらも世界第2位。日本の男性は80歳で第6位とシンガポールの方が優っている(女性はシンガポール=85歳、日本=87歳)。1000人あたりの死亡率でみた新生児死亡率と乳児死亡率はいずれもシンガポールと日本は世界最低でそれぞれ1人と2人(2012年)。これら数値だけでみてもシンガポールと日本は世界最高レベルで比肩ていることがわかる。

 

アジアトレンド シンガポール

 

シンガポールの医療システムはMedisaveという国家運営の医療システムがあり、同システムが国民や永住者が安価で質が高い医療を受けることができる軸となっている。これは個別の積立式システムで、利用範囲は個人と家族内に限定されている。医療施設は国営と公営と私立の3種に大別される。国民は身体の状況と懐具合を鑑みそれぞれの判断でいずれかの医療施設を使い分けている。国営病院で個人が負担する医療費の率は個々の過去12カ月の平均収入によって異なり2~5割。 

 

個人はMedisaveだけに頼ることなく、各々がそれぞれ別の保険を組み合わせているケースが一般的で、また企業が社員の医療のために一定の金額を負担する仕組みも普通だ。高名な医師に診てもらいたいとか、先進医療を受けたいとかいう場合は独立開業したクリニックが集まる私営のメディカルセンターや諸外国からも富裕層を集める私営病院も多く存在する。

 

このように弱者に厚く選択肢があるシンガポールの医療システムは2014年ブルームバーグにより世界一との評価を受けている。

 

 

岩田弘志:1998年シンガポールに渡る。引越会社、メディア会社などでの勤務経験ののち独立。ウェブメディア「シンガポール経済新聞」編集長やシンガポール和僑会の代表理事などを務めていた。現在はビジネスドメインをシンガポールからアセアン地区に拡大を図り、翻訳記事を配信する「ミャンマーエクスプレス」編集長などを行いながら各国を回っている。

 

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