すべてをヒト・モノ・カネを惹きつけるコンテンツにしてしまうシンガポール

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シンガポールは注目産業のみならず、社会問題や自らの弱点を全方位で捕まえ、コンテンツ化し、ヒト・モノ・カネを惹きつける施策としてシステム化するようになった。

 

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コンテンツ化の手段とは、概ね国際会議を開くか、シンガポール国内に実験場を開くかどちらかの一つを先行させ、次第に両方が歩調を合わせ動き出す。そして次第に海外から自発的にヒト・モノ・カネが流入し、シンガポールを通って行くハブ化の様相を示してくる。

 

ここ10年内の動きで顕著なのは、水、食料、労働力などだ。

 

水においては、建国以前からもっぱらマレーシア側の水源に依存していたものを、次第に貯水池を増やし、海水を淡水化するプラントを作り、下水を工業用、更には上水道にも使える様に再生させる技術を確立した。

 

海水の淡水化プロジェクトの過程では、ミネラルを工業用に向けるため、いわば「採掘実験 」をしていることがTEDで紹介された。この下水の淡水化はNEWaterと名付けられ 、日本の技術がふんだんに使われたそのプラントは、随時見学ができる。更には毎年 Singapore International Water Weekという名前のMICEイベントを開くに至っている。

 

食料では、長年輸入依存度が高まるに任せてきたものを、5年ほど前から世界的食糧不足の予想に危機とチャンスを見出した。クランジ・カントリー・サイドという農園団体のメンバーに資金援助を開始したのを皮切りに、銀座農園など海外からシンガポールで農業実験をしたい会社を誘致、「世界初の商業垂直農園」と称するプラントを開業した。クランジ・カントリーサイド・ アソシエーションは2016年、世界初の都市開催としてシンガポールで英国連邦農業会議を主催する。

 

労働力においては近年国民の要請に応える形で外国人労働者の雇用を規制、サービス業が打撃を受けることになったが、最近開かれたイベント「Disrupt@The Bay 」によればロボット産業にもそのソリューションを見出してきている様だ。ちなみに同イベントはロボットを使った労働力の補填を目指すだけでなく、植物から肉を作る、コウロギからチップスを作るといった多方面からの食糧生産に取り組んでおり、そこにもコンテンツ化の兆しを見出していることが伺えた。

 

岩田弘志:1998年シンガポールに渡る。引越会社、メディア会社などでの勤務経験ののち独立。ウェブメディア「シンガポール経済新聞」編集長やシンガポール和僑会の代表理事などを務めていた。現在はビジネスドメインをシンガポールからアセアン地区に拡大を図り、翻訳記事を配信する「ミャンマーエクスプレス」編集長などを行いながら各国を回っている。