数字で読む中国

9%
   米アップルは2013年9月20日、新型スマートフォン(スマ ホ)「iPhone 5s」(以下5s)と「iPhone 5c」(以下5c)を同時に 発売したが、中国市場で売れた両機の比率を調べたところ、 中国市場を意識したと言われる5cはわずか9%にとどまり、 91%を5sが占める結果となった。

この調査はスマホのアプリケーショ ン解析で知られる調査会社、米 Localyticsが9月24日の公式ブログで 明らかにしたもの。それによると、同社 では新型iPhone発売第一弾に選ばれ た中国、オーストラリア、ドイツ、日本、カ ナダ、米国、フランス、英国等の国・地域 を対象に、発売開始後72時間における 5sと5cの販売比率を調査。中国では5c がわずか9%で、オーストラリアと並ん で5cが最も売れなかったことが分かっ た。5cの比率が最も多かったのは英国 の31%、日本は17%だった。

発表前に市場で「廉価版」と言われ た5cだが、フタを開けてみれば中国で の販売価格は16GBモデルで4488元 で、廉価版どころかハイエンドモデルの 価格設定がなされた。しかも、旗艦モデ ル・5sとの価格差もわずか800元しか なく、明確な差別化がなされなかった。

中国市場における5cの販売を示す 統計は、この原稿を執筆している時点 でLocalyticsのものしか出ていない。さ らに、中国の移動通信キャリア最大手、 チャイナモバイル(中国移動)が、中国 政府から第4世代高速通信(4G)の運 営ライセンス発給を受けた時点で、 iPhoneの販売に踏み切るとの見方が 市場や業界には根強く、最大のユー ザー数を擁する同社が取り扱いを始め れば、5cの販売も伸びるとの分析もあ る。また、5cのターゲットは、アップルの 携帯音楽プレーヤー「iPod」を持ってい るが、まだスマホは持っていない若年 層で、販売が本格化するのは、この消費 層が買い物をする年末のクリスマス商 戦や年明けの春節(旧正月)商戦だとの 指摘もあある。

これらの要因から、5cの販売が不振 だと決めつけるのは早計だとの論調も ある。ただ、5cは新興市場、とりわけ中 国市場を意識したアップルが、1年に1 モデルという慣習を破って投入を決め たものだと言われる。さらに10月中旬 には、米紙『ウォール・ストリート・ジャー ナル』による、5cの販売不振でアップル が台湾地区系のEMS(電子機器受託製 造サービス)2社に対する生産発注を削 減したとの報道も出た。中国での立ち 上がり不振にアップルが心穏やかでな いことは想像に難くない。

アップルが中国市場を意識した製品 を出すとの観測は、iPhone以外でも目 立つようになっている。例えば10月15 日には、台湾地区の日刊紙『経済日報』 が、アップルが2014年、デスクトップの オールインワンパソコン「iMac」に低価 格モデルを投入し、中国での販売促進 を図ると報じた。また、iPhoneでも旗艦 モデルの5sに今回、新色のゴールドを 加えたのは中国での需要を見込んだも のだとの分析もある。販売が伸び悩む 5cに対し、ゴールドの5sは発売直後に 完売。ネットなどで1万5000元の高値 で取引された。アップルの中国戦略は、 5sでは当たったことになる。いずれにせ よアップルは試行錯誤しながら今後も、 中国市場をにらんだ製品戦略を続けて いくことになりそうだ。