危ない会社の見分け方 第25回

 

第25回 業界分析① 電子工業

 

  前回に続き、業界分析の第2弾は「電子工業」について見ていきたいと思います。「電子工業」とは、コンピュータ・通信・その他の電子機器製造業を指しており、電子工業には、ⅰコンピュータ製造業、ⅱ通信設備製造業、ⅲラジオ・テレビ放送設備製造業、ⅳ家庭用録画設備製造業、ⅴ 電子部品・デバイス製造等が含まれます。

 

1.安全性

 

 過去10年間における斯業界の自己資本比率は、2011年に大幅な上昇を見せたものの、その後は低下傾向で推移しています。近年の推移としては、全体平均は40%前後で推移し、最上位層平均は50%台を維持、最下位層平均においては15%前後での推移を続けています。自己資本比率は、数値が高いほど自己資本による資金運用の割合が高く、財務体力が高いと評価できます。17年の斯業界における当該指標は、下位層平均30%、全体平均40%、上位層平均45%と業界内での差が比較的小さい様子が窺えます。

 


 また、当座比率は、数値が高いほど、短期的な支払能力が高いと評価できます。17年の斯業界における当該指標は、下位層平均71.6%、全体平均96.5%、上位層平均108.7%と全体的に高い水準となっています。最上位層平均129.5%、最下位層平均41.2%と上位層と下位層の乖離も大きいことから、業界内における資金状況には格差が存在していることが窺えます。

 

 

2.資産効率


 過去10年間における、斯業界の売掛金回転期間について、全体平均は徐々に長期化の傾向で推移しています。最上位層平均は概ね安定推移しているものの、最下位層平均は変動が大きく、11年まで急激な短期化が進んだ後、16年まで大幅な長期化が進みました。
 
 17年の斯業界における当該指標の最上位層平均、全体平均、最下位層平均はそれぞれ88日、180日、400日となっており、回収期間が長い傾向が続いています。
 

 売掛金回転期間は、日数が短いほど売掛金を短期間に効率良く回収していると評価できます。17年の斯業界における当該指標は、下位層平均240日、全体平均180日、上位層平均116日と平均でも回収に6カ月を有している状態であり、斯業界における売掛金の回収効率は非常に低い状態となっています。

 


 総資産回転率は、数値が高いほど資産を効率良く運用して、売上を獲得できていると評価できます。17年の斯業界における当該指標は、下位層平均0.5回、全体平均0.6回、上位層平均0.8回となっており、全体的に資産効率が低い様子が窺えます。

 

3.収益性


 過去10年間における斯業界の売上高総利益率について、全体平均や最下位層平均では、11年に上昇が見られたものの、翌年には元の水準並に戻りその後も安定推移しています。最上位層平均では、16年に大幅な低下が見られたが、その後は回復傾向にあります。17年の斯業界における当該指標の最上位層平均、全体平均、最下位層平均はそれぞれ18.2%、8.0%、マイナス2.4%と過去10年間の平均並の水準となっています。


 売上高総利益率は、数値が高いほど利益の源泉となる付加価値の割合が高いと評価できます。


 17年の斯業界における当該指標は、最下位層平均マイナス2.4%、下位層平均4.8%、全体平均8.0%、上位層平均12.1%、最上位平均18.2%と、業界内における採算性の良否がはっきりと分かれている様子が窺えます。

 


 総資本利益率は、数値が高いほど総資本を効率良く運用して、利益を獲得できていると評価できます。17年の斯業界における当該指標は、下位層平均マイナス2.4%、全体平均2.1%、上位層平均3.1%、最上位層平均6.2%となっており、下位層では赤字企業が多く、収益効率が非常に低い様子が表れています。自社のお取引先について信用調査を行った際、この業界の状況と比較してみましょう。

 


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