危ない会社の見分け方 第23回

 

第23回 中国における仕入先の与信管理

 

「与信管理」というと、当然ながら皆さんがまず考えるのは「販売先」に対する与信管理です。信用取引において、販売先は商品・サービスの提供の対価として後から代金を回収する上で、安心して取引が出来るかどうか(問題なく回収できる取引先かどうか)を確認するわけですから、お金をもらう側として相手を調べるというのは普通に考えられます。

 

 一方で、仕入先はお金を払う側なので、とかく相手を調査するという行為はないがしろにされがちです。

 

 お金の回収はもちろん大切ですし、必ず事前に相手を調査し、与信限度設定をするなど与信管理上、必要不可欠な行為ですが、実は仕入先についても「与信管理」は必要なのです。

 

 仕入先に対しても「与信管理」が必要な理由として、ひとつ目の理由は、安定した仕入を確保し自社の商流が止まることを未然に防ぐことです。仕入先が急に倒産すると、回収事故こそありませんが、自社の顧客に約束した納品ができず、顧客に迷惑をかけて、自社の売上と信用を落とすことになります。

 

 もうひとつの理由は、与信リスクが発生しているケースです。外注先や下請先は個人職人を含め零細業者である場合が多く、十分な資金力を持ち合わせていないことがあります。こうした業者と季節性の商材を取引する、あるいは発注量が一時的に膨らむような場合には、資金繰りを助けるために下請代金を前渡しする需要が生じます。前渡金が発生すると、発注品の納品前に下請先が倒産した場合にそれが自社の不良債権となります。また前渡はなくても、下請先に材料を預ける寄託行為が生じれば、この材料が与信となります。

 

 また中国でも、とある日系企業が実際に被害に巻き込まれた事例として「介入取引」があります。介入取引とは、図1のように仕入先(A社)と販売先(B社)との間で、必要な商品・金額・決済条件等が予め決定されており、債権回収リスクの回避や資金事情等の理由により、信用及び資金力のある会社(自社)を介入させる形で成立する取引をいいます。介入会社(自社)の営業担当は売上げが欲しいですし、営業努力をせず、売上・利益の確保ができることから、話に乗りやすい取引形態です。質の悪いケースでは、仕入先(A社)・販売先(B社)が結託して、物流の伴わない架空取引をでっち上げ、介入会社から資金を騙し取るというものがあります。

 

 

                   図1:介入取引

 

 図1では、この取引では、いちいち間に入って受発注業務をしなくてよくなる半面、 勝手に大量のオーダーを出される可能性もあります。このオーダー分の仕入原価は、当然介入会社(自社)が支払は無くてはならないし、販売先(B社)への与信額も膨らみます。そして、上記の例では、仕入先(A社)から販売先(B社)へ直接納品することになっています。つまり、介入会社(自社)はモノの動きに関与できません。これでは、実際にモノが動いているか、取引が実在しているかどうかがわかりません。 この例では、完全に架空の取引でした。仕入先(A社)と販売先(B社)はグルであり、ある程度取引実績が積めた段階で、取引を急増させます。しかも、介入会社(自社)が売上を最も欲しがる決算期に合わせてです。そして、販売先(B社)と仕入先(A社)とで回収条件に差を設け、先に介入会社(自社)に支払いを済させる構図にします。大量のオーダー分の仕入代金を介入会社(自社)が支払った後は、もうどうでもいいのです。 目的は達成。逃げるのみです。

 

 そのほか、最近中国では環境規制の問題が非常に厳しくなっており、法改正なども頻繁に行われます。仕入先の工場が突然閉鎖されたり、そのエリアでの操業が停止されたりといった事象がよく聞かれます。そうした中で、仕入先の法規制に対する対策状況を把握し、それによって仕入先を変更するなどの対応策を講じないと、仕入元である自社が「連帯責任」を問われて罰則を受けるといった事例が出始めているということです。「与信管理」を行う上で、販売先の情報収集はもちろん必要ですが、お金を払う側だからといって、仕入先の情報収集を疎かにしていると思わぬ被害を受けるといった事例も出始めていますので、販売先、仕入先を問わず、取引をする以上はしっかりと相手企業を調査し、どこまで取引をするのかといった取引限度の設定を心掛けましょう。

 


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