英ダイソン、初の自動車工場をシンガポールに設立

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 家電メーカーの英ダイソンが、自社初の電気自動車工場をシンガポールに建設すると発表したことが話題を呼んでいます。同社は羽なし扇風機やサイクロン式掃除機で業界に革新をもたらしてきた会社として有名ですが、シンガポールは国土が狭く、自動車製造に必要な電力や水は安価とは言えず、人件費も高い。一見すると非常識な選択に見えますが、ここにも革新的な考え方が導入されていそうです。

 

 ダイソンの公式発表によると、その理由は複合的なものだといいます。第1にサプライチェーンがしっかりしていること、第2に熟練した人材を確保することに優れていること、第3に(周辺国の)高度成長市場へのアクセスだといいます。

 

 シンガポールは、今年1月に発表された世界経済フォーラムの報告書「製造業の未来への準備」において中国、日本などと並びインダストリー4・0の実現へ向けたリーダーの一つとされた国。シンガポール経済開発庁などを通じた革新的企業の誘致政策は盛んで、昨年月には科学技術研究庁が新技術・システムを用いた試験生産をするための工場の設立なども行っています。シンガポールへの投資は先進国が盛んで、対外投資においては、インドネシア、マレーシア、中国などに向かうものが多いことは、高度成長市場へのアクセスという理由を裏付けています。

 

 

 同社は扇風機と掃除機用のモーターを作る工場を昨年1月に稼働を開始させています。同工場での製造工程は極限まで自動化されていることが、シンガポールで生産しても問題ない理由でしょう。また、知的財産保護の観点からすると、アジアの中でも非常に堅牢な法的枠組みを持っていることも大きいでしょう。究極的に効率化され、サプライチェーンに連動した港湾・空港システムは言うまでもなく、シンガポールから直接貿易できる地域は多いです。ローカル人材に限らず、周辺各国から集まってくる人的資本の高度さもまた魅力で、1100人いる既存のダイソン・シンガポールの社員の多くはエンジニアや科学者だといいます。遠因としては、シンガポールもイギリス連邦に属しているということもあるでしょう。

 

 ダイソンの創業者ジェームズ・ダイソンは、いわゆるブレグジットの強力な信奉者。「英国はEUに頼らず独自に世界に打って出るべき」という考え方の持ち主で、英国内ではこの彼の普段の態度と、英国を逃げ出すように見える今回のシンガポールでの電気自動車工場設立の発表は矛盾しているように見えて、一部批判の声が上がっています。

 

岩田弘志:1998年シンガポールに渡る。引越し会社、メディア会社などでの勤務経験ののち独立。ウェブメディア「シンガポール経済新聞」、「ミャンマーエクスプレス」編集長などを歴任。シンガポール和僑会代表理事も務めていた。現在はシンガポールと日本各地を巡りながら、コミュニティ・ビジネス「セッションX」を立ち上げに勤しんでいる。

 

 

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