オープンエアのフードコートがユネスコ無形文化遺産に?

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 去る8月日、リー・シェンロン首相がフードコートの一形態である「ホーカーセンター」をユネスコ無形文化遺産の登録申請をする旨を明らかにしたところ、隣国マレーシアから多くのブーイングの声が挙がりました。マレーシアにある同様の施設の方が多様性があり、食事自体も美味しいなどとしているようですが根拠が乏しく、私には隣国に対するライバル心とやっかみにしか見えません。


 この「ホーカーセンター」は、近年日本国内でも増えている「フードコート」の原型で、シンガポールではオープンエアで独立した建物であることが基本。「屋台」を意味する「ホーカー」を集めたものという意味で、1950∼60年代に路上で展開されていた屋台の衛生面や都市開発における問題を解決するために整備されたものです。同様の施設はマレーシアだけでなく、インドネシアのリアウ諸島や中国香港でも見受けられますが、ホーカーセンターという名称はシンガポール内のみ。そこから派生し、ショッピングモール内で空調が完備されたものがフードコートと呼ばれるようになり、公団住宅HDBの1階部分などでホーカー4∼5件分を営業するいわば「ミニホーカー」は「コーヒーショップ」と呼ばれています。ほぼ全てのホーカーセンターは政府機関によって運営され、フードコートやコーヒーショップは民間が運営しています。日本にはフードコートという形式のみが輸出されましたが、中国・東南アジア各国のモール内にはシンガポール資本のフードコートが進出しビジネスを広げています。

 

 Maxwell Food Centre by Nate Roberthttps://www.flickr.com/photos/naterobert/

 

 シ ンガポールとマレーシアのユネスコ関連の動きを見てみましょう。無形文化遺産は、マレーシアではケランタン州の伝統的なパフォーマンスが登録されていますが、シンガポールは未だゼロ。世界文化遺産については、マレーシアは4つでシンガポールは1つ。かつてマレーシアではペナン島とマラッカ海峡文化が登録されましたが、本来であればそこにシンガポールが加わって一つの世界遺産とされてもよい歴史背景がありますが、現代では国が異なりますし、登録当時シンガポールが世界遺産条約に批准していなかったことなどが、シンガポールが阻害された要因と思われます。このペナンとマラッカの世界遺産のツアリズムはシンガポール国内でも大体的に宣伝されていました。


 これに焦りを覚えたのもあってか、シンガポールはのちに植物園が国内初の世界遺産に登録されることになります。そしてこのホーカーセンターの登録申請もまた、シンガポールのソフトパワー強化の一環なのだと思われます。

 

岩田弘志:1998年シンガポールに渡る。引越し会社、メディア会社などでの勤務経験ののち独立。ウェブメディア「シンガポール経済新聞」、「ミャンマーエクスプレス」編集長などを歴任。シンガポール和僑会代表理事も務めていた。現在はシンガポールと日本各地を巡りながら、コミュニティ・ビジネス「セッションX」を立ち上げに勤しんでいる。

 

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