米朝首脳会談について勝手に皮算用 シンガポール政府の立場に立ってみて

singapore

 

 去る6月12日、米朝首脳会談という歴史的な出来事がありました。この会談の開催地となったシンガポールの政府側の視点に立って、損得を見てみたいと思います。  

 

 シンガポールは建国以来、世界の様々な対立軸の中点に立って、その存在価値を示してきました。今回の会談もまさにうってつけのもので、ほかの候補としては、北朝鮮と韓国の間にある板門店や、モンゴルのウランバートル、あとスイスも候補に挙がっていたようですが、政治体制や米朝が多少警戒を要する勢力との距離感なども相まって、シンガポールはベストな場所にあったように思います。  

 

                                               米朝首脳会談が行わ れた「カペラ・シン ガポール」

 

 シンガポールは開発独裁と他国から言われるように、経済発展を遂げつつも建国以来政権交代が起こっていない国ですが、そのあたりが資本主義の中心国と捉えて良い米国と、形はだいぶ違いますが、一党独裁の北朝鮮との距離から見て面白いところにあるように見えます。北朝鮮から来られた方々に会談前夜にシンガポールの良いところを案内したツアーは、とても刺激的なものだったのではないかと思います。  

 

 さて、今回の会談でシンガポール政府が拠出した費用は、約1,630万シンガポールドル(=約13.1億円)だったと発表されました。予算段階で約2,000万Sドルで、そのうち警備向けに約50%、来訪する2,500人のメディア向けに25%を割り振り、北朝鮮政府の来賓たちのための宿泊費も含まれていました。  

 

 シンガポール国内では、度々大きなイベントが開催され、都度道路封鎖や迂回などを強いられるため、タクシードライバーなどを中心によく苦言が呈されています。今回も米朝両陣営が宿泊したそれぞれのホテルはシンガポール随一の目抜き通りに近く、会談の開催場所もセントーサという観光島だったので、それは大変だったのではないかと思います。  

 

 しかし、国内には巨大な国際展示場や国際会議場がいくつもあり、普段から多国より人が来ることが、経済上も安全保障上も重要なことと捉えられてきているので、政府も国民もそれは既定のこととしてわかっている節はあります。  

 

 あくまで参考に過ぎませんが、シンガポールの世界に向けた広告効果としては、約7.67億Sドル(=約61.9億円)程度あったというあるメディア会社による試算も出てきました。  

 

 やはりとてもお得な主催だったのではな いでしょうか。

 

岩田弘志:1998年シンガポールに渡る。引越し会社、メディア会社などでの勤務経験ののち独立。ウェブメディア「シンガポール経済新聞」、「ミャンマーエクスプレス」編集長などを歴任。シンガポール和僑会代表理事も務めていた。現在はシンガポールと日本各地を巡りながら、コミュニティ・ビジネス「セッションX」を立ち上げに勤しんでいる。

 

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