ジカ熱が流行−熱帯のインバウンド先進国から学べること

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雨季へと向かっていくシンガポールでいま急激なジカ熱の流行が起こっている。

 

チャンネルニュースアジアの報道によると、8月30日までの3日間で発症が確認された人数は82人。韓国、中国台湾、オーストラリアの各政府は国民に対しシンガポールへの渡航注意を呼びかけていて、日本政府もまた外務省海外安全ホームページで「妊娠中又は妊娠予定の方は可能な限り渡航をお控えください」という【スポット情報】を発している。シンガポール本島と2カ所の橋で繋がるマレーシアのジョホール州の政府も各税関で水際作戦を開始した。

 

ジカ熱はデング熱に比較して発症時の症状は軽いが、いずれも死亡が少ないわけではなく、妊娠時に胎児に対して垂直感染を起こす可能性が高く、その際には脳や眼球の発育を阻害して小頭症などを引き起こすと言われている。感染経路はいずれも主にネッタイシマカなどいくつかの蚊を媒介とするほか、前述の母子垂直感染のほか、性行為による感染もあるため「シンガポール出張時に感染した男性が日本帰国後に発症しないまま感染に気づかず性行為を行い女性に感染、妊娠の上胎児に感染し胎児が小頭症に」ということも充分に考えられる。そこで外務省の【スポット情報】では、「流行地域から帰国した男性は、症状の有無にかかわらず最低8週間、(中略)性行為を控えるようにしてください」とされている。

 

温暖化の影響か、昨年東京の代々木公園でもデング熱感染者が出たことを記憶されている人もいると思うが、シンガポールでは国立環境庁が独自ドメイン「dengue.gov.sg」でシンガポール全体地図上に発症クラスター(塊)を置く形で常に流行情報を開示している。発症クラスターは、過去2週間に渡る感染者の数と最初の発症例発生からの累積人数とともに、感染者がゼロになるまで表示され続け、生活者は不要不急の場合はそのエリアを避けることにこのサイトを役立つ。

 

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シンガポールはグローバル企業がアジアの統括本部を置いていたり、世界有数の国際会議・展示会の開催地だったりと人の流入が大変多いハブ拠点。昨今の日本は温暖化と、各国に対するビザ緩和によるインバウンドビジネスの興隆が起こっている。情報発信の方法から屋外の徹底した燻蒸スキームや水たまりを作らないなどといった規制や啓蒙などこれらの分野においても日本はシンガポールから多くを学べそうだ。

 

岩田弘志:1998年シンガポールに渡る。引越し会社、メディア会社などでの勤務経験ののち独立。ウェブメディア「シンガポール経済新聞」、「ミャンマーエクスプレス」編集長などを歴任。シンガポール和僑会代表理事も務めていた。現在はシンガポールと日本各地を巡りながら、コミュニティ・ビジネス「セッションX」を立ち上げに勤しんでいる。