2013.4 China_Vol.8

ITソリューション概要
日本では長い間、日本人特有の連帯感や「ものづくり」へのこだわりから、属人的なスキルアップが競争力の原動力となったが、その手法をそのまま中国に持ち込むことは難しく、いまひとつの解決策としてITソリューションが注目を集めている。現在、ITソリューションの導入は日系だけでなく中国系企業も積極的で、高品質や短納期といった付加価値を高め、世界的な競争力としていくために欠かせなくなってきている。
しかし、この世に万能薬がないように、それだけで完璧なITソリューションもない。多くを求めすぎず、ITを導入することによって何を実現し、何ができたら「成功」とするのかという目標と成功の定義を明確にすることが、IT導入への第一歩となる。
かつて品質管理や効率化のために日本で導入されたITソリューションも、欧米から習う際には日本型に翻訳され、具現化されてきた。それと同じ過程が、ここ中国でも必要とされている。ITの導入方法を探る過程で、日本人と中国人の得意とする分野の違いが整理され、課題の解決方法が試行錯誤されること。その蓄積こそが、その企業がもつノウハウとなり、会社の財産、付加価値となっていくだろう。
設計→調達→製造→物流→メンテナンスという製造の過程において、何を可視化・最適化、効率化していくのか。それを考えていくために、今月の特集では、工場で利用できるさまざまなITソリューションを見ていくことにしよう。
20分の1秒で検査可能な画像解析技術
品質管理のコストパフォーマンスを向上
精密部品加工や装置開発を得意とするHILLTOP山本精工株式会社が、2012年9月上海に進出、2013年春より本格始動する。中国での展開は日本でもパートナー関係にある株式会社田中工務店、株式会社エム・イー開発技研との共同出資による。「楽しくなければ仕事じゃない」をモットーに「夢工場」を実現してきた山本精工を中心とした同社がまず中国で展開するのは、ずばり「画像処理技術」そのものだ。最先端の画像処理技術を取り入れた品質検査を見てみよう。

■ 検査精度とスピードを向上
巨大な製造ラインの一部として組み込まれることも多い同社の画像処理技術。最先端の画像処理を搭載した品質管理システムが、コンパクトなユニットになった。一番の特長は20分の1秒で検査が可能だという超高速の解析技術である。
HTI-7200は、2点間距離、2直線の交点、2直線の中点、垂線距離,近似楕円など、3カ所同時の検査(OK・NG判定)を50ミリ秒(20分の1秒)で行う。また、必要に応じてチェッカーの数を増やすことも可能だ。
さらに、幾何演算機能によるチューンナップを行っているため、2つの曲線間の距離1.11mmの OKまたはNGの判定が可能という高性能を誇る。また、カメラは追従性に優れ、設置したピンに沿ってしっかりと測定物を設置しなくても、自動的に追尾し測定してくれる。そのため検査のスピードが従来よりも格段に向上した。
また必要に応じて、異物付着検査、クラック検出、汚れ・キズ検査、印字文字抽出、形状・寸法検査など、様々な検査装置をオプションで搭載することもできる。
■ 人件費削減が競争力の鍵
この技術を取り入れると生産現場は、どのように改善できるのだろうか。これまで中国では、安い人件費に基づいた製造体制がメインで、特に品質管理では、測定工具を用いたマンパワーに頼っていた。しかし、すでにローカル企業やほかのアジア諸国のメーカーも力をつけ、品質面での追い上げも激しい。そして現在、多くの企業が直面しているもっとも大きな問題はコスト競争だろう。中国の製造業も過当競争の時代に入り、沿岸部では常に人材不足と人件費の高騰が悩みの種となっている。
このように、中国市場でも速さと正確さ、そしてコストパフォーマンスが厳しく問われる時代が到来した。そのため、日本と同等の品質管理を行いながら、人件費を削減していく必要性はますます高まり、企業の競争力そのものと直結していくだろう。
同社は、30年以上にわたりアルミ部品やオリジナル装置製作を行ってきた実績を持つ。メーカーとして発展してきた過程で蓄積されたデータをいかし、現場の視点で開発される製品は、使う人の立場に立った柔軟な発想と優れた技術力が魅力だ。生産現場で働く人にとってもっと楽で効率的な方法を模索し続けてきた同社だからこそ、巨大ライン用からコンパクトサイズなものまで、目的に合った様々な検査装置を提供できる。今後、同社ではさらなる独創的で画期的なアイデアを、中国での市場という大舞台のなかでさらに磨き、発展させていくだろう。

TEL:021-6486-3555
クルマづくりの技術が生んだ自動化技術の粋
あらゆる工場の生産効率・安全性を向上
自動車生産設備の設計・開発、生産、据付、無人搬送車による物流システムを提供する天津神技冶具設備有限公司は、愛知県に本社があるシンテックホズミの現地法人。トヨタグループ向けの独自性の高いソリューションを得意としている。
中国には2003年に進出し、天津・広州・長春に拠点を設けている。同社は、現地調達・現地生産を進めながら、自動化とICTソリューションによるトータルソリューションを提案。現在は自動車関連以外の工場でも活用できる商品・サービスを提供している。

■ 効率化の中核を担うAGV
同社開発のAGV(自動搬送機)には、まさに自動車産業で培ったロジスティクスの技術が詰まっており、あらゆる工場で活用できる。
AGVは、生産物流システムの完全無人化を実現可能にする。なぜなら、従来は運搬台車やフォークリフト、カートを用い、その1つひとつを人が動かしていたわけだが、そのすべてに代わることができるからだ。導入にあたっては、まずは生産設備のレイアウトや導線のシミュレーションを行い、関連設備に応じた設計を行う。同社のAGVには2サイズあるが大きいほうでも外形寸法が1600ミリ×274ミリなので、省スペースなうえに導線距離の改善にも大きな効果がある。それでいて、可搬重量は500キログラムとパワフルだ。
そのほか、納品とシステム立ち上げまでを一貫して行うほか、アフタフォロー体制も十分。また、導入後も生産量に応じて柔軟にラインが変更でき、それがダイレクトにコスト削減へとつながることが最大の魅力だろう。日系企業をはじめ、中国のローカル企業にも注目され、2012年の発表以来、毎月10台の生産体制を敷いている。
■ スピーディに導入できるロボットティーチング
一般的なロボットティーチングでは、動作を教えるのみで関連する治具やワークまでは対応しない。また、治具メーカーもロボットティーチングまでは行なわない。そのため、ロボットと周辺機器の連携で困難が生じることも多く、現場の工員に任される範囲が増えてしまうため、結果として品質のばらつきが出る可能性も高まってしまう。
このようなトラブルを回避するために、同社のロボットティーチングでは、ロボット、治具、ワークをスルーして、ロボットティーチングを行っている。
また、通常のロボットティーチングでは、エンジニアが1台ずつ実機で行うが、同社はオフラインでの対応も行っているため、プログラム導入までの時間を短縮することができる。ロボットの動きや人の作業性を3Dでシミュレーションし、導入前にパソコン上で事前に検討することもできるため、ラインを止める時間を最小限に抑えることができるのだ。特に導入するロボット台数が多いときに、たいへん効率がよい。

TEL:022-8398-3652

自社の製造ラインを一括管理するソフトウエアを開発
来料から備品購入、接待費まで徹底したコスト管理を実現
精密樹脂金型で定評がある深圳市五鑫科技有限公司は、持ち前の発想力でERPを自社開発し、日々の運用にも成功している。コスト面では鉛筆1本まで管理できるというこのシステム「商道」は、日系企業の工場での勤務経験がある中国人社長が、中国の現場に合ったシステムの必要性から工夫を重ねて開発したもの。評判も高く、2013年からは自社以外での導入も決まっているという。

■ 自社開発した理由
中国でもシェアの高いERPは、欧米企業で広く使われているSAP社のシステムだが、SAPは欧米仕様となっているため、中国でのものづくりの管理に弱い面がある。
それでは、日本でカスタマイズされたERPソフトがよいかというと、それも中国の現状には合致しない。それは、日本のERPは自動化の促進が大前提となっているため、大人数の人件費管理が必要となる中国の現状とは異なるからだ。もちろんERPをカスタマイズすれば解決できるが、中国の中小企業は資金力がなく難しい。
また、ある製品を作るには、材料費、人件費、物流、設備償却をはじめ、顧客接待、不良発生時の人件費、物流費等々さまざまなコストが絡むが、ここまで一貫した管理できるものはなかった。そこで自社で開発することになったわけだが、その後は顧客企業との付き合い方を、数字を根拠に判断できるようになり、また当初180人だった社員数も現在80人に削減できたという。
同社開発のERPでは、複雑な来料加工管理から物品管理画面、物品購入申請画面、クレーム管理画面までを網羅する。物品管理では、鉛筆1本まで正確に管理し、誰が、いつ、いくらで買ったがわかる。物品購入では、各備品や製品購入をシステム上から申請し、なんと各品目には参考価格が表示されるという周到ぶりだ。またクレーム管理は、顧客ごとに履歴を管理しているので、さらなる品質保証とコスト削減へとつながる。
■ コスト管理は社員のモチベーションを上げる
当社では、なぜここまで徹底したコスト管理を行うのだろう。一番の理由は、「社員のモチベーションを高めるため」と社長は語る。通常コスト管理を厳しくすると、社員のモチベーションが下がりそうなものだが、同社では逆の現象が起きている。
会社の利益を毎日・毎月リアルタイムに、かつ正確に把握することで、会社の利益を社員全員に即時還元しているため、社員も積極的に協力するのだという。同社の給料は毎月変動し、利益が出ればボーナスとしてプラスし、逆に不良等で利益が出なければ、給料も下がる。各部門・各個人が頑張れば頑張るだけ、稼げば稼ぐだけ個人に反映される仕組みができているから、いまでは社員1人ひとりにシステムの重要性と意味がしっかり浸透しているのだ。
つまり管理するためだけではなく、なるべく早く社員に還元するためのシステムとして開発された同社のERP。2013年より他社への販売を本格始動するという。
TEL: 0755-8176-5688
営業活動を「見える化」し、プロセスから成果を得る
日本では2000社超、中国でも100社を超える人気ソフト
営業支援システムやコンサルティングサービスを提供するソフトブレーンチャイナ。同社の「eセールスマネージャー」は、営業プロセスを「見える化」し組織的な営業効率を高めるためのシステムで、日本国内ではトップシェアを誇る。最近では日系企業だけでなく中国企業からの問い合わせも増え、より高度化・複雑化する営業活動と評価制度を連携するツールとして人気が高まっている。その特徴をソフトブレーンチャイナ藤戸氏、唐氏に伺った。
e Sales Managerの8大優位 | |
1 | 営業活動を見える化 |
2 | 案件情報・顧客情報の共有 |
3 | 営業効率を上げる |
4 | 使いやすい |
5 | プロセスマネージメント |
6 | スマートフォン・タブレットPC対応 |
7 | 導入サポート |
8 | 定着サポート |
■企業の財産「顧客情報」の流出を防ぐ
転職率が高い中国で最も経営者の頭を悩ませるのは、顧客情報の流出ではないだろうか。「この問題は、実は中国系企業でも深刻です」とソフトブレーンチャイナ唐氏は語る。転職者が顧客をもって独立してしまうケースは多く、ノウハウが社内に蓄積されないばかりか、市場におけるシェアが書き換えられてしまうこともある。
そんな危険を回避し、会社の情報を会社の資産としてためていく仕組み、それが「eセールスマネージャー」だ。
このソフトは、日本生まれの営業支援(SFA)・顧客管理(CRM)システムで、もともとは営業結果を得るために、営業プロセスを管理するためのものだが、このシステムが優れているのは、自由にプロセスを設定できる点だ。営業だけではなく、他の分野でも使用できる。例えば、顧客管理で、最初の打ち合わせから納品までに時間がかかり、アフターサービスまでを含むと数年単位になる製品であっても、流れに沿ってきちんと情報管理をすることができる。
■段階を踏んだ導入が可能
しかし、どんなにいいシステムであっても、きちんと情報が入力されなければ、データとしては使えない。また、経営者と担当者とでは必要な情報も違う。
そのため、このソフトではなるべく文字入力を減らし、チェック方式にすることによってデータを標準化し、入力者の利便性と経営層が必要なデータの収集力を高めている。
また言語は、中国語、日本語、英語、韓国語に切り替えが可能で、客先の工場を訪問した際でも手軽に情報入力や確認ができるようiPad対応のアプリもある。
そして、システム導入後もっとも大切になるのは、会社の目標に向かってシステムも改善させていくことだ。担当者が入力できるようになることが目的ではなく、システム導入後も定期的に顧客企業にヒアリングを行い、管理項目の設定を調整したり、使い方に関するコンサルも行っている。客観的な視点から、「会社本来の目標に立ち返ることを一緒に行う」と藤戸氏。これも同社のサービスがもつ魅力の1つだ。
これから、ますます競争が厳しくなる中国では、中国企業もこれまでの人に頼った営業ではなく、プロセス管理を伴った論理的営業スタイルへと変化してきている。また、評価に直結できるこのシステムは、フェアな評価をしていくうえで誰もが納得できる指標ともなる。今後、ますますグローバル化していく中国の企業にとって、こうした営業支援ツールは、目標を共有し、企業文化を作り上げていく重要な役割を果たしていくだろう。

TEL: 021-6090-0548 http: //www.softbrain.com.cn/
本社:
北京市朝陽区東三環北路17号新時代証券大厦806A室
Tel: 010-8235-6730
深圳支社:
深圳市南山区桃園路1号西海明珠花園F棟11階1111-1112C
Tel: 0755-8256-3378

モノからコトへ
リコーがITサービス事業を強化
■ 企業のITに関する課題全般を解決
IT技術とネットワークの進化、またスマートフォンの急速な普及により、中国でのコミュニケーション方法も大きく変化している。大切な取引先情報や開発・生産中の製品情報など、中国の生産現場で求められる情報セキュリティ対策も、今後ますます重要となってくる。
リコーチャイナでは、2003年の中国法人設立以来、10年にわたって中国ならではのIT課題や情報セキュリティ問題に直面し、その都度、最適な対策を模索、1つずつ解決してきたという。こうして蓄積された経験をふまえ、2012年4月には、ITサービスを新たな事業の柱とし、従来の複合機などの「モノ」の販売からサービス主体の「コト」の販売についても強化している。
このITサービスは、日本ではすでにリコージャパン及びリコーテクノシステムズにより提供されている。日本国内にある製造業にも満足度の高いサービスで、パソコン・サーバ、ネットワーク機器、ソフトウェア等の販売と構築、運用から保守まで広くサービス提供しており、中国の現地法人でも利用を望む声が多かった。そこで、リコーチャイナでは日本で培ったノウハウを基礎として中国ならではの要望に応えられるかたちにローカライズし、サービスを開始した。
同社は元来がメーカーなだけに、あらゆる生産現場に寄り添ったITサービスを提案可能である。リコーチャイナのサービスは、メーカーの業種や規模を問わないばかりか、社内体制やIT活用度にあわせ、オフィスの立ち上げから工場のシステム管理、工場間の情報共有まで、顧客企業の中国での事業拡大と歩調をあわせた最適な提案・コンサル活動を実施している。
■ 工場ならではの課題に取り組む
リコーチャイナが特に強調するのが、工場に多い悩みだ。パソコンの使用台数が多く、資産管理に手間が掛かったり、専任のIT管理者を社内に置けない場合もある。このようなときに、パソコンの管理からライセンスの問題、また情報漏えいといった生産現場に潜んでいる危険性を整理し、優先順位をつけて導入の道筋を立て、導入後はアフターサービスまでを提供している。
また東北の大震災以降、特に注目を集めているのが災害や火災の発生による事業停止の危険性だ。データの管理を工場内だけにせず、遠隔地へのバックアップデータ保存など、同社が培ったノウハウを惜しみなく共有してくれる。

このように顧客に寄り添ったITソリューションの展開を行っているため、現在、同社に寄せられる相談には、工場移転や新設に伴う建設関連の相談にまで踏み込んだ内容も増えているという。
これからの中国で日系企業が勝ち残っていくためには、同社が目指すような、こうした日系企業同士の連携した協業とノウハウ共有が成功のカギとなっていくだろう。
TEL: 021-5238-0222 186-2139-9277
E-mail: hkoide@rcn.ricoh.com(担当:小出)
http: //www.ricoh.com.cn

多品種・多工程に対応した生産スケジューラー
中国の工場にも110社以上の導入実績
■ スケジュールは効率化のカギ
従来の中国の工場では、生産基幹システムの導入意識は各社ともに高いものの、生産スケジュールはエクセル管理だったり、各担当者の経験に頼るというのが実状だった。

しかし、それではスケジュール担当者が急に休んだり、予定していた資材が入らないなどのトラブルが生じたときに迅速な対応をとるのが難しい。
これまでのように人海戦術でスケジュールを組んでいたのでは、昨今の生産ラインの高度・複雑化やリードタイム短縮の必要性に対応しきれないだろう。また人件費の高騰から、人員配置の改善も緊急の課題となっている。
こうした理由から、日本の製造業が培ってきたスケジュール構築のノウハウが評価され、生産スケジューラーの見直しに本腰を入れる企業も年々増えてきている。
問題点 | 改善点 | |
納期 | 納期が経験で判断され不正確 | 明確に納期判断でき、顧客満足度向上 |
時間 | 生産計画予測ができず、残業発生 | ラインの負荷を平均化、毎週3時間の稼動時間減少 |
在庫 | 過剰在庫の発生 | 月間平均400万元の在庫を削減 |
人件費 | 生産計画担当が6~8名 | 3名で担当 |
■ 工場とともに成長するAPS(Advanced Planning and Scheduling)
日本でトップシェアを誇る生産スケジューラーのAsprovaAPS。このシステムを導入した工場では、従来スケジュールの作成に3~4時間必要としていたところが、20分に短縮した例もあるという。
また、利益を確保する際に特に重要なのが部材の投入計画だ。スケジュール管理をきちんと行うことによって、いつまでに何が必要なのかを把握できるため、原材料や中間品の在庫数を抑え、コストの削減につながる。
たとえ、現在はまだエクセルでの管理で十分だったとしても、「工場は大きくなる前から生産スケジューラーを導入し、大きくなる準備を整えることが重要だ」と、アスプローバ上海の徐総経理は語る。大きくなってからだと、抱えるデータも膨大なものになるため、コンパクトなものを最初に導入し、工場と一緒にシステムも育てたほうが拡張しやすいからだ。
■ 強力なパートナー体制
アスプローバ上海では、広大な中国をフォローするためにパートナー企業と連携し、営業・保守の体制を整えている。その中でも、華北・華東・華南の沿岸地域全体を網羅している重要なパートナーが大宇宙信息創造(中国)有限公司(トランスコスモス)だ。同社は天津に本社、拠点を北京、蘇州、広州、深セン、瀋陽、東京にもち、1995年の設立以降、日系の工場の生産に関するさまざまなシステム構築の実績を誇る。
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同社のサービスの特長は、中国人スタッフが顧客企業に常駐し、ユーザ部門やIS部門と直接交流しながら、システム導入の補助をしていく点だ。顧客企業の抱える課題を正確に理解し、現場のスタッフと一緒に課題を解決していくため、現場で生かされるシステムの導入が可能になっている。また、こうした全般的なシステム構築サービスのなかで、顧客企業の課題が生産スケジュールにある場合には、顧客と一緒にAsrpva APSの導入検討を始める。同社のスタッフは、他の基幹システムの導入や、その後何年にもわたる保守を引き受けているからこそ、顧客企業の各部署の社員とも信頼関係が築けている。そうした仲間からの提案であるからこそ、各種システムの導入が現場レベルでスムーズに運ぶというわけだ。
■現場レベルの意識改革
もちろん、新しいシステムの導入の際には、予算が限られていることが多いだろうし、現場レベルでの反発もあるだろう。
しかし、大宇宙では、既存客に対して外から新しい解決策を提示するのではなく、顧客企業(内製)の立場からシステムを1つの道具として提案する。現場レベルで十分に話し合ったうえで、もし改善案として生産スケジューラーの導入が有効と判断された場合には、内部のニーズとして社内申請をあげる手助けをする。こうした現場に密着した対応は新規顧客にも評価が高い。
また現在、多くの中国の工場のヒアリングを行うと、生産スケジューラーに課題が見つかることも多いという。生産スケジューラー導入後、スケジュール作成に携わっていたスタッフを半分に減らした例もあるとのことだ。
今後ますます高度化がもとめられる中国の製造現場にとって、現場スタッフの意識改革までを一緒に行うシステム導入は、成功のカギを握っていくといえるだろう。
TEL: 020-8371-0055 E-mail: ITSSALES@trans-cosmos.com.cn
http://www.trans-cosmos.com.cn/japanese/index.html

生産現場、物流現場の作業ミスを防ぐ
効率をアップする現場カイゼンシステム
■ 速く、正確、使いやすいシステム
中国の工場でよく問題となるのが、在庫の問題だ。特に中堅から大手の規模になってくると、在庫数や出入庫の履歴があわず、結果さまざまなロスに繋がるケースも多い。
こうした問題にいち早く取り組み、これまでに中国で300社のカイゼン実績がある「生産、物流現場カイゼン研究会」のa-Sol。同社の過去10年間の経験が凝縮された現場カイゼンシステム「TraceMan」は、生産業務の効率化、操作ミス防止、実績収集を支援するソフトだ。管理工数を可能な限り減らし、より速く、正確に、そして中国人スタッフにも使いやすいソフトとして開発され、日系だけでなく中国系の工場、物流現場からも近年問い合わせが急増している。
■ 見てわかり、結果の出るシステム
「TraceMan」には原材料在庫管理、完成品在庫管理、基板誤実装防止、生産工程履歴情報収集の4モジュールがある。特長は、工場の規模や体制に合わせ、必要なモジュールのみの導入や段階的なモジュールの追加も可能で、カスタマイズが自由な点だ。
また、操作画面は作業者の作業を軽減するだけでなく、誰でもすぐに使えるように工夫されている。システムを起動すると、まずはシステム全体を簡単に把握できるアニメーションが表示されるので、実際に作業を行うスタッフにITスキルがなくても、取扱説明書なしで、すぐに操作できるようになる。

さらに、バーコードプリンタやハンディターミナルなどの各種ハードウェアとも連携することができ、帳票作成などは、基幹システム(ERPや生産管理システム)とのデータ連携も可能だ。
■ カスタマイズの柔軟性が魅力
実際に「TraceMan」を導入した工場に、加賀電子の蘇州工場、加賀沢山電子(蘇州)有限公司がある。医療や精密機器の部品を多品種・小ロットで製造している同社では、複雑なラインオペレーションを重視し、2009年に自社工場としてスタートした当初からシステム構築に力を注いだ。

加賀電子には、蘇州よりも早く深圳に合弁の工場があり、すでに工場運営のノウハウと明確なビジョンがあった。また、基幹システムであるERPなどがある中で、現場管理の仕組みとしてうまく使えるシステムでなければ意味がない。そのため、日系の大手システム会社を含め数社からプランを取り寄せたところ、「最もカスタマイズの柔軟性があった同システムの導入を決定した」と同社の竺総経理は語る。
■ 強力なパートナー体制
加賀沢山電子では、段階を追ってシステムを導入している。ある製品の不良が出たとする。分析→フォードバックを1日に1回行っていたのでは、翌日違うものを作っていることも多いので、次にその製品を作る際に改善策を忘れてしまうこともある。そのため、チェックのタイミングを早めるなど解決策を模索する段階が必要だ。
そして、メンバーがそれに慣れ、かつ仕組みとしてうまく機能してきたところでシステムに置き換えていく。そうすると「必要なこと」「やらなければならないこと」は現場で共有されているので、そこにシステムの補助が入ると作業は楽になる。つまり仕組み自体は現場で考え、それを効率化していくプランをシステム会社に依頼するという連携だ。
a-Solの門脇総経理は、「私たちは製造現場の問題を解決するための処方箋を出せるドクターだと思っています。薬を売りたい薬屋さんであるシステム会社との違いですね」と語る。システムを購入しただけでは、現場はカイゼンされない。
カイゼン意欲と工夫する力をもった人たちと、現場カイゼンのノウハウを提供できる人たちが出会ったとき、競争力があるグローバルな工場が誕生するのだろう。

中国現地でのITサポートを通じ、ものづくりを応援したい
日本人スタッフ0、中国人メンバーで日系企業の
ITソリューションに取り込む
上海飛楽ニューコンは、1999年2月に日本ニューコンと上海飛楽音響によって設立された、中国現地での全面的なITサポートを得意とする企業だ。特に近年では中小企業の中国進出が加速し、IT管理者不在の中小工場からのニーズが高まっている。
■ 進出日系企業の悩み
中国に進出してきた日系企業は、大手ならば日本からもIT管理者、技術者が赴任し、現地スタッフの育成なども行えるが、実際は多くが中小企業。たった一人の日本人総経理や工場長が、生産や販売だけでなく、人員管理から工場内の様々な管理まで行わなくてはならないことも多い。そのため、現地スタッフの活躍が重要なカギを握るが、言語や文化の問題もあり、なかなか解決できないというのが実情だ。
■ 飛楽ニューコンのITサポート
孤軍奮闘する日本人管理者の手助けをしたいという熱意から、ニューコンのITサポートサービスは発展してきた。設立当初は在日本企業のオフショア開発やデータベースセンタといった案件が中心だったため、日本式のシステム開発や、修正のポイントなどに精通。その間に蓄積したノウハウを今度は在中国の日系企業向けに展開できると考えた。

現在ニューコンでは上海と昆山合計80名以上のスタッフが、クライアントを毎月1回以上定期訪問している。これは各クライアントのIT環境を理解し、トラブル時にすぐに対応できる体制を整えるためだ。また、遠隔操作での解決が可能な問題ならば、電話一本ですぐに対応する。もちろん、必要であればすぐに専門スタッフが現場に駆け付け、問題解決を行っている。
■ 充実のITスタッフ
またスタッフのほとんどが、中国語以外に2か国語程度の外国語に堪能。単に日本語を話すだけでなく、文化や習慣への理解も心がけ、日本人管理者と中国人現場スタッフへの両方のケアが可能な人材育成を心がけている。その結果、同社には日本人担当者が1名もいない中、多くの日系企業のサポートに成功してきた。
そして自社で培ったIT人材育成プログラムは、クライアントにも提供している。もともと中国のIT人材で日本語や日本文化を理解する人材は少ない。そのため日々の業務で問題が発生した際の対応に頭を悩ませる企業は多いだろう。そうした現場の課題に向き合い、同社では自社で実行している人材育成プログラムをITサービスに組み入れることにした。

その結果、現地スタッフの日本語能力が向上しただけでなく、スタッフ全体のITスキルアップにもつながったという。こうした単なるIT企業にとどまらない発想力とサービス力は、クライアントからも好評を博している。
具体的なソリューション
ニューコンでは、ITサポートの一環として具体的なソリューションも提供している。
◆ 生産管理パッケージ
自社開発のERPパッケージソフトだけでなく、クライアント所望のソフトのカスタマイズも可能。現地での導入を全面的にサポートするため、短期間での立ち上げが必要な場合などに有効。
◆ OAシステム
社員管理、スケジュール制定、施設予約などの日常業務管理が可能。多言語対応なので、中国人スタッフの管理にも役立つ。
◆ セキュリティ管理
カードリーダーの導入、出退勤管理などのシステム。
◆ EMI抑制設計支援ツール
不要な電磁波が発生しにくいプリント基板の効率的な設計・開発を可能にしたソフト。1社単独で導入した場合は非常に高額になるが、シンクライアントにて利用した場合、月間数千元からでも利用が可能だ。
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◆ シンクライアント
セキュア環境を実現する「シンクラSTサービス」を提供。既存PCを活用し、安全にイントラネット環境へのアクセスを実現。
◆ IT人材育成サポート
日系大手企業への日本語研修実績のある蘇州淑徳語言学校と提携し、ITツール導入後の社内人材育成をサポート。語学研修だけでなく、日本式のマナーや考え方も教育し、日系企業の人事面の悩みに対応。

「時間と闘う製造業のために」本当に使える
生産スケジューラを提供
近年の製造業をとりまく環境の変化により、生産スケジューラの重要性が広く認識され、求められるようになってきた。
それらに応える為に株式会社フレクシェは、日本の多くの工場で活用されている生産スケジューラFLEXSCHE(フレクシェ)を開発・販売している。2012年に上海事務所を設立し、現地代理店のサポートや拡販活動を行っている。そこで今回は、株式会社フレクシェの上海事務所首席代表の欒忠偉様に同社サービスの特長を聞いた。
■ 生産スケジューラとは何ですか?
生産スケジューラとは、製造業における生産計画・工程計画を立案するためのソフトウェアです。生産スケジューラを導入することによって、属人性を排除し、質の高い生産計画を立案できるようになります。また、それ以上に、未来を可視化できることも大きいでしょう。
このままいけば、近い将来にこうなる、あるいは、こういう対策を打てばこういう結果が得られる、ということを明確にできるので、様々な状況の変化に素早く的確に対応できます。その結果、リードタイム短縮、在庫削減、スループット向上などの効果が期待できます。
■ FLEXSCHEの特徴は何ですか?
FLEXSCHEは日本の代表的なスケジューラの1つです。世界で4 5 0 本以上の導入実績があり、高い評価を受けています。FLEXSCHEは多様な製造業のニーズを満たすための『柔軟性』と、使い続けるための『使いやすさ』を兼ね備えているのが特徴です。
例えば一口に製造業といっても、業種や工場、工程によって、生産スケジューラへの要求は異なります。それを1つのパッケージで実現するためには柔軟性が必要です。
また、それに加えて、日々の業務での運用を想定した使いやすさも追求しています。つまり、高速できめ細かなスケジューリング機能、充実したモデリング力、見やすい画面と軽快な操作性が、FLEXSCHEの魅力です。
■ 今、なぜ中国に?進出の理由は何ですか?
中国では2008年頃から既に代理店を通して販売していましたが、今後中国ではさらに生産スケジューラへの需要が高まっていくと予想しているためです。年々増加していく中国のユーザーを身近でサポートし、またパートナーを増やして広い中国の隅々まで日本式サービスを推進していこうと考えています。
■ 中国の製造業に、なぜ生産スケジューラが必要なのでしょうか?
中国は安価な資源と労働力を背景に「世界の工場」となっていますが、今後はコスト上昇に対応するため、より効率的な生産体制への転換に迫られるはずです。
さらに、日本同様、多品種少量生産への移行、迅速な納期回答の要求、頻繁に変わる生産計画などにより、以前と比べてはるかに緻密な工場運営が強いられるようになってくるでしょう。工場で次々とモノを作る過程は、まさに時間との闘いの連続です。
そのため、今後は中国でも生産スケジューラによる合理的かつ緻密な生産計画と生産管理が求められるようになるとみています。
■ 生産スケジューラパッケージをどのように選ぶべきですか?
一番もったいないのは、パッケージを購入したけれど稼働できなかった、というケースです。パッケージの購入費用だけでなく、検討に費やした人件費や労力や時間が無駄になります。これは何としても避けなければなりません。
失敗しないためには、生産スケジューラを選ぶ前に、ユーザーの工場で必要とされる条件をきちんと抽出して、それらを満たせるかどうかを十分に見極める必要があります。
しかも、工場の状況は年々変化します。必要なものが段々変わっていくのが普通です。それらを見越して、懐の広いパッケージを選ぶべきでしょう。
例えば、パッケージの価格だけで選んで稼働に失敗すれば、逆に遥かに高くつきます。また知名度だけで選ぶのも安易ですね。知名度の高いパッケージが本当に稼働しているかは定かではないですから。
しかしそうは言っても、生産スケジューラに何が必要かを見通すのは、なかなか難しいものです。安易に決めたくなる気持ちも、わからなくもないですが(笑)。そのため、私どもはよく「使えないシステムに価値はありません」と言います。ぜひともいいシステムを長く使い続けてほしいですね。
<導入企業例> | |
■ 浜松ホトニクス株式会社 様 | ■ 株式会社豊田自動織機 様 |
■ 株式会社イーテック 様 | ■ 村田機械株式会社 様 |
■ 東洋合成工業株式会社 様 | ■ 三菱マテリアル株式会社 様 |
■ 新日本製鐵株式会社 様 | ■ 株式会社神戸製鋼所 様 |
■ 共和精機株式会社 様 | ■ 大日本印刷株式会社 様 |
■ 株式会社毎日新聞中四国印刷 様 | ■ アルプス電気株式会社 様 |
■ 日本電産サンキョー株式会社 様 | ■ ヤマトスチール株式会社 様 |
■ 富士通株式会社 様 | ■ 山形スリーエム株式会社 様 |
■ 川崎重工業株式会社 様 | ■ ケイミュー株式会社様 様 |
■ 株式会社クボタ 様 | ■ 三菱重工業株式会社 神戸造船所 様 |
■ 中国におけるフレクシェ社の今後のビジョンを教えてください
今後も自信をもって、「時間と闘う製造業のために」本当に使える生産スケジューラFLEXSCHEをご紹介し、永く継続的に利用して着実に成果を上げ続けていただくことに注力していきます。
また、私達と共に生産スケジューラで製造業のために力になりたいという志を持つ企業様は、ぜひ声をおかけください。