メッキ屋のイメージを変えることに挑戦し続ける「イノベーター」

 

シンセイタイランド

SHINSEI (THAILAND) CO., LTD.

 

 

 

シンセイタイランド

 

 

 

メッキ屋のイメージを変えることに
挑戦し続ける「イノベーター」

 

 

ロジャナ工業団地に位置するシンセイタイランド。一見は工場団地内にたたずむ普通の工場に見えるが、その中にはワクワクするイノベーションの塊がありとあらゆるところにちりばめられていた。

 

 

シンセイタイランド

 

 

シンセイタイランドの思想

 

「メッキ屋のイメージを変えたい」シンセイタイランドの中山MDは開口一番こう語る。一般にメッキ工場となると、化学物質を多く使用するため、有害物質を排出せざるを得ない事が多く、通常の工場からは外れたエリアに建設されたり、そもそも受け入れが難しい工場団地等も存在する。また、実際問題として、有害な物質を完全に処理しきれず、そのまま排水してしまっているケースも少なくない。

 

シンセイタイランド

 

そんな中シンセイタイランドでは、日本と同様のレベルで給排水処理設備を設置、それにとどまらず、通常は業者に引き取ってもらう酸などを、ほとんどコストをかけずに再生利用できる装置(写真①)や、無電解ニッケル溶液からニッケルだけを取り出してクリーンに処理するための装置を保有している(写真②③)。(※通常は業者が引き取り、廃棄されている)

 

シンセイタイランド

 

驚くべきはこれらの多くが、「タイを汚さない」というポリシーのもと、同社がタイで操業し始めてからの長きに渡りパートナーと共に開発し導入したものであり、世界のどこにも同様の設備がないということだ。「工場から環境負荷になるようなものは何も出したくない。出すのは製品だけ」。また、メッキ工場では水が命であり、水の質 (極めて純度が高い水)が非常に重要で、かつ大量に必要となる。一般的な水の再利用率は7割程度だが、それを9割まで再利用することを目標とする取り組みも行っている。

 

他社に真似できない独自の技術

 

メッキは業界内では「塗る」という表現がよく使われるが、同社は「打つ」と言っている。ここにも中山MDのイノベーション思考の一端が聞いて取れる。

 

要求仕様にもよるが、同社は下請的に顧客から仕様を貰って忠実にその要求に答える形ではなく、「お客様が必要なのはどの部分にメッキをする事ですか?」という問いかけや本来実現したい要求について相談をするプロセスを経て、顧客が抱えている課題を解決するためのソリューションを提供するスタイルになっている。

 

メッキ工程でよくあるのは、ジャブ付けといって、特定の金属部品の全てにメッキをかける手法であるが、メッキの素材で金や銀を使う場合、部品の全てにメッキをすると材料のロス率が高くなり非常にコスト高となる。(現在金の価格は1g= 4,500円前後であり、量産になるとメッキ処理でも数千万円単位で材料が必要になる)

 

シンセイタイランド

 

「塗る」ではなく、「打つ」を実現する技術として、同社は自動のスポットメッキライン(写真④)を保有しており、表面全てにメッキをせず、必要な部分のみにスポットでメッキが出来る(写真⑤)。元々先進国に比べタイはまだ人件費が割安である上に、自動化・省人化を進め、材料のロスも少ないため、顧客から仕事を請け負うことによって、最大で1/3のコストが削減できるような例も実績として多数存在する。

 

シンセイタイランド

 

一般的に金メッキは、膜厚が薄いものでは0.02μm~0.03μm、厚いものでも1μm(※μは1/1000mm)という、超精密な世界だが、例えば顧客の要求仕様が0.02μm~0.06μmの範囲内という仕様の場合、通常のメッキ工場では間の0.04μm ±0.02μmで調整しようとする。同社の場合、高い精度でのコントロールが可能であり、0.02μm~0.03μmで対応できるため、その分材料コストを抑えるような提案も可能だ。

 

「要求されたスペックをしっかりと満たす事は重要だが、それを上手にやるだけでは面白くない。顧客の抱えている課題をベースに、顧客と相談しながら如何にそれを解決していくか?そういう内容の方がワクワクする」「下請けではなく、お客様のパートナーとして認めてもらえるようになりたい」

 

 

精度の高い技術を支える
管理システム(必要は発明の母)

 

メッキの品質を左右する重要な要素として必要な薬品の調合・ラインへの投入作業があるが、同社のシステムは画期的だ。まずは薬品の調合がベテラン技術者でなくともミスを発生させないシンプルな方式になっている(写真⑥)。必要な計算もすべてプログラムが行っており、1ヶ所のモニターで全ラインの投入した薬品の濃度が適正範囲内に収まっているかどうか時系列でモニタリング出来る。顧客が確認のためにデータを必要とする場合、ボタン1つで電子データが提出できる仕組みにもなっている(写真⑦)。

 

シンセイタイランド

 

日本のような先進国の場合、ベテランの技術者がいるため、計算機を叩いてマニュアルで行っているケースが多いが、タイでは特に化学に強い技術者が少なかったという理由から、品質を管理するために必要となり、これまた同社がプログラムも含めて全て独自開発した世界唯一のシステムだ。

 

結果として、問題が起こった際は、赤い紙に異常値が記載され自動印刷される仕組みまで作り込んだものの、マニュアル操作がほとんどいらないためミスが発生せず、残念ながら赤い紙が印刷されたことが今まで一度もない。

 

「メッキ屋のイメージを変えたい」そんな1人の熱い思いから、10年の月日を経て、今は約300人のスタッフに支えられ、これからもイノベーションを生み続けるであろう同社。一度コンタクトしてみるとあなたの中にも化学反応が起こるかも。

 

 

シンセイタイランド

 


 

SHINSEI (THIALAND) CO., LTD.
株式会社シンセイ
大和電機工業株式会社


取扱品目:自動車部品、車載用部品 、コンピューター用精密部品、カップリング、光学部品、半導体部品、他などのメッキ処理

 

住所:Rojana Industrial Park, 40/18 Moo 5, U-Thai, U-Thai, Uthai, Ayutthaya 13210 Thailand
電話:03-574-1741
連絡先:
MD:中山 (Mr. Nakayama) (JP)
GM:Mr.Chakrawut Raisaeng (TH)



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