日本の厳しい顧客を納得させるまで技術力が向上、世界一のモールドベースメーカーを目指すLKM

龍記集団(LKM グループ)
ルンキーメタルジャパン株式会社
会員番号:62356
所在地:日本群馬県邑楽郡大泉町吉田914-1  電話番号:81-276-203900  担当者:石川一秀

 香港地区の下町の一角、わずか30㎡程度の小さな工場からはじまった。1975年のことだった。邵鉄龍氏・玉龍氏の兄弟二人は、金型メーカーとして鋼材の販売を開始した。その小さな工場を、いまや香港取引所に上場するほどの大企業へと一代で築き上げた。「龍記集団(LKM グループ)」だ。


龍記集団(LKM Group)1300台の工作機械が稼働する河源工場

 LKMグループは84年にモールドベース部を立ち上げ、モールドベースの生産を主力とする現在の礎が築かれる。91年から中国大陸での生産を開始。99年に建設した広東省の河源工場は、従業員5000名が働くグループ最大の工場となっている。従業員はピーク時に1万人を超えていた。2012年には浙江省杭州市に工場を建設し、華東地区を中心に製品を供給している。


 LKMグループは、小規模だった頃から設備投資を惜しまなかった。1987年に業界の先駆けとしてコンピュータ数値制御(CNC)の機械を導入している。ひと言にモールドベースといっても、顧客ニーズは変化してきている。もともとは外枠だけを生産していたが、金型メーカーから駒以外のすべてを製作してほしいと依頼されるようになっていった。そうした要望に応えていくためには、工作機械の質も重要になる。同グループが導入する機械は、牧野フライス製作所やオークマ、ヤマザキマザック、アマダなど、日本メーカー製にこだわっている。


 河源工場はマザー工場ともいえる存在で、700台のマシニングセンタが稼働。切断機や研磨機などを含めると、工作機械の台数は1300台に及ぶ。精密加工のために温度を一定に保った空調棟もあり、200台の機械が稼働している。


 モールドベースの生産量は、月産3万5000から4万セットに達する。規格品は、150mm角から800mm角まで取り揃え、特注の大型のものは長手が5000mmまで、重量は40tまで対応可能だ。


 原料となる鋼材は日本の大同特殊鋼、スウェーデンのASSAB、中国の宝山鋼鉄など大手メーカーの代理販売を手がけ、常時4万tの在庫を抱えている。まるで鉄鋼メーカーのようだ。中国では依然として偽物が少なくないが、同社では鉄鋼メーカーと長年の付き合いがあるうえ、800倍ズームのマイクロスコープ、強度や靭性を測定する計測器などで品質管理を徹底。偽物が紛れ込まない仕組みを構築している。中国では原材料価格が上昇し続けているが、大量ロットの購入により、できるだけ安定した価格で供給できるのも強みだ。また鉄鋼メーカーとの提携により、自社ブランドの鋼材も扱っている。


龍記集団(LKM Group)


日本進出20年で進化した技術力と顧客からの信頼

 海外市場にも早くから目を向け、93年にマレーシア龍記を設立。96年には日本に「ルンキーメタルジャパン(東京都墨田区)」を設立している。現在では、中国をはじめアジアに6拠点を構え、世界23カ国・地域に製品を供給している。


 同社の群馬県にある工場では、中国の河源工場で生産された半製品の仕上げ加工や組立てを行い、日本国内のユーザーに供給している。しかし、これほどの大グループをもってしても、日本市場の開拓は容易ではなかった。進出当時は一般的に中国製に対する評価が低く、「頭を下げて、技術向上と品質改善を経て価格を下げて、あとは何を下げればいいのだ」(石川一秀副社長)と熟考する毎日だった。


龍記集団(LKM Group)

 受注にこぎつけたと思ったら、日本企業の品質への要求が厳しいゆえに、課題も少なくなかった。「せっかく買っていただいたお客さまからの信用を壊してはいけないので、本店とかなりすり合わせをした」と石川氏は当時を振り返る。さまざまな方法を試みることで徐々に品質が認められ、信頼が得られるようになっていった。最近では、自動車メーカーからダイカスト製品用の大型のモールドベースを採用されるほどだ。


 近年は加工量の増加や複雑化など、顧客の仕様がかなり多様化していることもあり、顧客との入念な打ち合わせを重視している。特注品についてはしっかりヒアリングしてから図面を河源工場に送る。すると、工程部から20-30項目の質疑が送られてくるので、それを元にさらに綿密に打ち合わせする念の入れようだ。さらには短納期にも対応する。「役員が口癖のように『ノー・リミット』といっている」(同氏)のを日本でも実践している。



エンドユーザーに直接アプローチ

 完成品メーカーが製品を形にするにあたっては、下請けに成形メーカーがあり、その下に金型の1次下請けメーカー、2次下請けメーカーとあって、その下に資材メーカーがある。つまり、モールドベースの納入先は金型メーカーになるが、同社では、5年前からエンドユーザーに直接アプローチする「アップストリームカスタマー(上位顧客)プログラム」を実施している。


 たとえば完成品メーカーが新しい機種を生産する際、どの金型メーカーから何個の金型を調達するかという情報を聞き出し、完成品メーカーと金型メーカー、同社との三者で打ち合わせを行う。そこでそのプロジェクトにかかる価格や技術的な要求を把握し、完成品メーカーに提案や申し出を行うのだ。サプライチェーンを構成する各メーカーの付加価値を高めるため、上位顧客だけでなく金型メーカーとも協力することで安定した価格と条件でプロジェクトを進め、完成品メーカーの理想を実現できるようになる。また、金型メーカーの生産コストと品質も把握しやすくなる。こうすることで川上から川下まで満遍なく割引が行き渡り、透明性をもった供給体制が構築されることで、顧客からさらなる信頼が得られるのだ。


龍記集団(LKM Group)
 

 同社の役割は、日本の販路拡大だけではない。中国と日本との橋渡し的な役割も担っている。ある企業が海外でプロジェクトを立ち上げるという話があれば本社を訪問し、LKMグループでできることを提案する。実際に受注するのは中国や他の海外拠点だが、その情報を中国で共有することで、現地でのアプローチがしやすくなるのだ。


 LKMグループでは、3年前から自動車業界を中心に大型製品に注力しているが、日本法人も例外ではない。ダイカスト用の需要が増えているため、「積極的に取っていきたい」と石川氏は意気込む。LKMが世界一のモールドベースメーカーになるため、ルンキーメタルジャパンが援護射撃をする。