冷間鍛造で培った技術を武器に
高いトータルエンジニアリングを目指す

NICHIDAI ASIA CO., LTD.





冷間鍛造で培った技術を武器に
高いトータルエンジニアリングを目指す





    熱を加えずに削ることもなく、部品成形を可能とする加工法ネットシェイプ。この高い技術で名高い精密鍛造金型メーカーのニチダイ(京都府京田辺市)が、タイを拠点に顧客のすぐ身近なところで新たなサービスを深化させようとしている。省資源・省エネルギーにも貢献し、自動車の主にエンジン、トランスミッション、駆動系部品の生産に活用されてきた同社の技術。金型製作にとどまらず部品の設計・開発から量産にいたるまでトータルでのケアを実現したところに高い評価の理由があった。冷間鍛造の分野で培った技術を武器に、タイ市場でも新たな橋頭堡の構築に乗り出す。














    ニチダイのタイ進出は約10年前に遡る。2008年にNICHIDAI ASIA CO.,LTD.を設立。本社工場(宇治田原工場)で生産された冷間鍛造金型のタイ市場での本格供給がスタートした。13年7月にはさらなる現地化を進めるため金型事業を開始、タイ工場の稼働となった。これにより本社工場から半製品を輸入、現地で完成品とするという現在の体制が完成することに。結果、リードタイムは大幅に短縮し、顧客対応にも厚みが出た。フェース・トゥー・フェースの関係を構築することで、近くにいることの安心感にもつながった。「出張ベースで月1回の訪問では真の顧客サービスにならなかった」と井本 善之Vice Presidentは振り返る。ここまでがタイにおける「前史」だ。

    16年3月、グループは新たな一歩を踏み出す。技術サポートを担う「技術部門」の新設だった。冷間鍛造のスペシャリストを招聘し、常駐責任者に据えた。タイ人エンジニアも取りそろえた。冷間鍛造金型は図面通り製造がされても、さまざまな条件から思ったように稼働しないことも少なくない。これを円滑に作動させるのが技術スタッフの役割だった。

    図面を引き直すにしても、1週間かかっていたものが即日対応できるようになった。レスポンスも格段に早くなった。「顧客の顔が見えるようになった」と井本氏。部門の設置により新規の注文も増え、引き合いも広がった。日本での長期研修制度をスタートさせるなど、技術の継承を目的に若きタイ人スタッフの養成も本格的に始まった。タイ事業、第2幕の幕開けとなった。

    日本市場ではなかなか機会のない他業種やローカル企業との関係も深まり、横のネットワークも広がった。単体の冷間鍛造金型だけを売り物にしていては顧客のさまざまなニーズや市場の変化に応えることはできない。材料、潤滑、特殊加工など、トータルとしてのサービスの提供が求められた。「パートナー企業との連携で事業の間口がかなり広がった。トータルエンジニアリングとしての基礎が少しずつできあがった」(井本氏) 。



■ネットシェイプ化でコスト構造を改善

    エンドユーザーから毎年発生するコストダウン要望。同社の顧客もそれに応えるためのコスト削減及び稼働率向上に必死だが、井本氏は「弊社はここにビジネスチャンスがあると見ている」と話す。同社が得意とするネットシェイプ化によるメリットは歩留まり改善と金型寿命の延長による稼働率の向上にあり、製品一個あたりの単価低減に直結する。「金型単体でのコストダウンには限界があり、永続的な取引にはならない。重要なことは、いかにコスト構造を改善し、顧客の“体質改善”につながる提案ができるかだと考えている」(同)。こういった切り口からの提案に対して市場の反応や評価も向上しており、井本氏も手応えを感じている。

    今後の事業展開は、ローカル対ローカルだと考えている。これまでは成熟した冷間鍛造金型を日本からタイに供給すれば事足りた。だが、ここで現地化が進み、横のネットワークが広がってくるようになると、一方通行型の商流だけでは新たな発展は見込めないことに気付くようになった。タイのローカル市場でダイナミズムに環流するタイ人主導の取り組み。ここに力を入れようと考えている。

    エコカーなど次世代型の産業の登場はある意味では脅威でもあるが、「反面として新たなビジネスのきっかけにもなり得る」(同)と積極的だ。冷間鍛造金型で培った高い技術がそうした自信を生み出していくのだろう。日本ではあまり出会いのなかったメーカーや取引先などとの交流も、しがらみの少ないタイならば容易だ。これを日本に逆輸出する方法だってある。海外からのアプローチに端を発した本社事業の底上げがあってもいい。無限の可能性が潜んでいる。

    NICHIDAI ASIAの「ASIA」には、タイを拠点に東南アジアを展望していこうという思いを込めた。国境の垣根が低いこの地だからこそできることもある。NICHIDAIグループは21世紀中葉を見据えながらトータルエンジニアリングとしての道を歩もうとしている。







NICHIDAI ASIA CO., LTD.


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お問い合わせ先:
井本(Mr. Imoto)
092-270-8221
imoto@nichidai.co.jp
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