アーク溶接のパイオニア食品分野への ロボット化など新規分野にも進出目指す




バンコクから北に約50km。アユタヤ県との県境に近いパトゥムターニー県ナワナコン工業団地の一角にOTC DAIHEN Asia Co., Ltd.の本社兼工場はある。アーク溶接トーチの製造・販売を中心に、アーク溶接機、アーク溶接ロボット、自動化用ロボットのシステム導入支援・設置・メンテナンスなど、FAソリューションの提供を行っている。2011年の大洪水では工場全体が被災し、長期の操業停止を余儀なくされた。それから5年余り。やっぱりダイヘン製品が良いと言ってくれるお客様に支えられ、再来年には設立30年を迎えるタイの老舗。新たな需要に向けた新規分野への進出も狙う。


 変圧器メーカーとして創業した同社の歴史は古い。1919年に「大阪変圧器」として大阪で誕生。その後、溶接機、切断機、産業用ロボット、半導体製造装置用機器や太陽光発電用パワーコンディショナーを市場に投入。常に最先端の技術で社会の要望に応えた新しい価値の創造に取り組んでいる。アーク溶接機は日本国内シェアNo.1。付加価値の高い溶接ロボットとともに、年々複雑化・高度化する自動化ニーズに世界トップレベルの技術力で応えている。タイでの事業開始は1989年。2年後にタイ法人は30周年、日本国内本社は100周年を迎え、両社ともに大きな節目となると受け止めている。

 タイ工場で生産しているアーク溶接トーチ、日本から輸入販売しているアーク溶接ロボットは特に自動車産業を中心に需要が高い。ダイヘンならではの技術により、確かな溶接品質とともに、飛躍的に生産性向上が図れるとして、お客様より絶大なる信頼をいただいている。

 取り扱う溶接機のラインナップは30種類以上。自動化用のロボットと組み合わせた最新のシンクロフィード溶接システムの高い性能は折り紙付きだ。超高速制御のワイヤ送給と溶接電流のシンクロ(同期)制御を行うことで、極低スパッタ・高品質溶接を実現できる。顧客のニーズと現場にマッチした製品を供給している。

 アーク溶接トーチ工場では、「不良品を出さない(出荷しない)」(川原 史好現法社長)という強い信念の下、工程管理にも力を入れている。まずはサプライヤーから納入される原材料や部品を搬入段階で厳しくチェック。不良品の混入を徹底排除。続いて生産ライン。中間工程でも厳しい検査を実施、品質を維持させる仕組みを構築した。「次工程に不良品を送ってはならない」(同)と徹底した管理意識がそこにある。仕上げは最終検査。専用の高性能測定機器で入念に検査を実施。全ての検査項目が管理基準内であることを確認し、晴れて製品となる。こうしたきめ細かな工程を経て生まれた機器や溶接トーチなどの安心してお使いいただける製品だけが顧客の元に送られていく。
 

■食品など新規分野への進出へ

 市場での認知度も高まった近年、新たな市場への進出も模索している。その大きなカギとなる一つが、溶接機製造の過程で確立したロボットの技術だと考えている。「当社独自のこの技術をアーク溶接分野に使っているだけではもったいない。もっと幅広い分野に応用できるはずだ」(同)と始まった見直し作業。今では、ロボット需要のうちアーク溶接分野への使用は全体の15%ほどしかないため市場の大きな非アーク分野へのさらなる応用が可能とみる。

 「例えば食品事業」と川原社長は話す。人の口に入るものを扱うとなれば、素材もステンレス製に切り換えるなど新たな需要も広がりを見せる。農業国でもあるタイには無数の食品関連産業が存在し、輸出向けも含めた多くの人々の胃袋を支えている。ローカル企業が関心を向ける可能性もある。「食品関係の分野に乗り出せるかどうかが大きな判断の分かれ目になるかもしれない」と話す。

 こう考えるには伏線がある。タイ政府が進める産業構造の見直し作業。賃金が上昇し、労働人口が頭打ちとなったタイで、今後の推移を見通した奨励策が、産業の高度化(高付加価値化)、そして自動化だった。高度化では最先端の自動車技術や素材、医療などの分野で手厚い保護支援がすでに始まっている。自動化においても少しでも人の手を減らそうと、ロボットの導入が国を挙げて進められている。ここに活路があるのではないかと見ている。

 加えて、心強く感じているのがタイを取り巻く周辺国の好調ぶりだ。市場人口で圧倒するインドやインドネシア、ベトナム。これらの国々などでの主力の溶接機需要は今後も増していくと見る。地政学的に見て、タイがそのハブとなっていくことは自然な流れと感じている。「ここ(タイ)に我々が存在して司令塔となる意味は大きい」と川原社長は話す。

 OTC DAIHEN Asiaの社屋の柱には、地表から高さ1.8mのところにグレーで着色されたラインがある。2011年10月から12月にかけてこの地方を覆った洪水の水位だ。当時、機器類は軒並み水没。半年余りの操業停止となった。防水壁の設置や設備の高い場所への移転など対策が済んだものの、あの時を忘れないというのが川原社長の考え方だ。「ここで仕事ができ、社会に貢献ができる。この喜びを忘れてはいけない」。
 




OTC DAIHEN Asia Co., Ltd.


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