時節を捉えた豊富な製品群に加え ユーザーの課題に合わせた提案が可能なエンジニアリング力に強み

山善(上海)貿易有限公司
山善(上海)貿易有限公司
会員番号:54315
所在地:上海市徐汇区宜山路1388 号民润大厦1 号楼1 层B 座 
電話番号:021-5445-2266(田園)

 

工作機械や産業機械などを扱う大手専門商社山善(大阪市西区)、間もなく創立70 周年を迎える。同社は1967 年の米国進出を皮切りに88 年のタイ、90 年のマレーシアと、早くから海外を志向し、現在では11 カ国で18 現地法人68 事業所を展開。日本国内の54 事業所を超えている。とりわけ中国大陸では3法人19 拠点を構え、充実ぶりが目立っている。


中国全土に19 拠点を展開 万全のアフターサービス体制

上海白銅精密材料有限公司山善は、1993 年という早い段階から中国に駐在員を派遣し、調査を開始。97 年に上海に駐在員事務所を開設し、香港地区に物流拠点として「山善(香港)貿易有限公司」を設立した。そして2002 年に「山善(上海)貿易有限公司」を設立し、本格的に中国事業をスタート。ユーザーの近くで営業活動する方針のため、次々と拠点を拡大していった。内陸への展開も早く、まだ近年のようには注目されていなかった03 年に重慶市に事務所を開設している。05 年には華南地区をカバーする「山善(深圳)貿易有限公司」を設立。山善(上海)を中国営業本部とし、3社体制で山善中国を運営している。

さらには台湾地区現地法人「山善股份有限公司」子会社の「創善貿易(深圳)有限公司」が11 年に設立され、中国大陸に進出している台湾地区企業向けのアプローチも行っている。

今年3月には吉林省長春市に事務所を開設し、中国大陸での拠点数は19 を数える。 しかし、ここまでくるのは必ずしも順風満帆ではなかった。中国と日本との商習慣やものづくり文化の違いは壁だった。

たとえば日本や米国では、ユーザーにそれなりの加工ノウハウがあり、それを前提 とした打ち合わせが行われる。しかし中国 企業の中には、資金と意欲はあるものの技術もノウハウもなく、機械メーカーや商社 に頼りきりというケースが少なくない。と ころが機械メーカーには「ものを作るノウハウはあっても、量産のノウハウは持っていない」(村田孝男・中国営業本部長)ことも。山善中国は、両者の間に立ち調整をしなければならない苦労があった。それを可能としたのは、同社自慢の“ エンジニアリング力” だ。

山善の海外法人には「技術部」が存在する。販売した機械の据え付けやメンテナンスなどのアフターサービスを行うのだ。山 善上海は、営業を開始したばかりの顧客も収益もない中でも、この部分を重視してきた。

山善(上海)貿易有限公司

工場でいちばん困ることは、機械が止まって生産ができなくなること。しかし、 交換パーツだけ購入しても技術力がなけれ ば取り付けすらできない。その部分を、同社のエンジニアが担うのだ。エンジニアは定期的に主力製品についてのトレーニングを受け、常にユーザーの元に駆けつけられる体制を整えている。交換の多いパーツに関しては、在庫も確保している。その対応力こそが、同社の強みのひとつである。目 下、中国営業本部で抱える約400 名の社 員のうち、エンジニアが75 名を占める。

 

売るだけでは終わらない “提案力” に強み

山善中国の取扱商品数は、競合他社と比べて多い方だ。工作機械に関しては、切削機械からダイカストマシン、成形機まで、 日本の主要メーカーのほとんどの機械を取り扱っている。

機械だけでなく、機工関係の製品も充実 している。切削工具、計測器、電動工具、SE(メカトロ商品)、洗浄機など、前工程から後工程までを網羅。さらに最近では、 SE 関連製品にも注力している。

山善(上海)貿易有限公司

扱う製品は、日本ブランドにこだわっている。「山善として販売させていただくに は、高品質が前提にある」(小澤一之総経 理)からだ。ただし必ずしも日本製だけではなく、近年は中国製も増えているという。

昨年3月には、EC プラットフォーム「淘 宝(タオバオ)」にも出店している。並べている商品は、ミツトヨのノギスやスイデンのスポットエアコンなど比較的小さなものだが、午後3時までに注文すれば当日出荷 されるため、急を要するユーザーから重宝 されている。販売量はそれほど多くないものの、営業マンがユーザーを訪問することで別の製品が売れることもあり、ネット販売は、きっかけ作りとしても役立っている。

全取扱品目は数万種類にもおよぶが、同社の特長はそれだけではない。真骨頂は “ 提案力” にある。「ただ商品を売るのではなく、治具や刃物、計測器、それに自動化も含め、トータルに提案する。手間もかかるし失敗することもあるが、それをやっていかないと、商社の存在意義がない」とまで小澤氏は言い切る。

ここ4、5年でニーズが増えているのは、生産効率を向上させるための自動化や半自動化。最近は、販売実績が豊富なブラザー のマシニングセンタと安川電機の6軸多関節ロボットを組み合わせた自動化ラインを提案している。

変化に対応するために 求められる情報収集能力

山善(上海)貿易有限公司 昨今の中国経済の減速は、製造業にとっても無縁ではない。「忙しいところとそうでないところに分かれている」と小澤氏は指摘する。同社は、自動車とIT 業界が主要ユーザーとなっているが、自動車販売台数が底堅い一方で、IT はスマートフォンをはじめ好不調の波が大きく、苦戦している企業も少なくない。


そうした不況下でこそ、山善中国の提案力は必要とされる。同社では営業マンはもちろん、エンジニアもその能力が求められ る。エンジニアの一般的な業務である据え付けや修理は、仕事量にどうしても波がある。空き時間を活用してユーザー対し「プラスアルファとしての自動化や加工技術など、いわゆるアプリケーションの提案に力 を入れている」(小澤氏)という。エンジニアだからこそできる提案といってもいいだ ろう。今後は営業に同行させるだけでなく、 エンジニアに大口ユーザーを巡回させ、現状をヒアリングさせたいとしている。困りごとを聞き、それを解決することで新たなニーズを掘り起こすというわけだ。

加えて同社では、情報収集も重視している。たとえば、堅調である自動車業界だが「電気自動車( EV)化の動きもあり、注視していかなければならない」(同)と先を見据える。

「 中国は世界で最も競争が厳しい市場。変化が早いので、しっかりついていかないと、市場が変わってからでは遅い。そうした中で、少しでも利益が出せるように差別化して付加価値をつけていかなければならない。単に商品を売るだけでは、ローカルの機械屋さんや工具屋さんに勝てない」(同)。
山善(上海)貿易有限公司

情報収集の結果、ユーザーに適切な提案ができるというわけだ。

こうした厳しい市場の中で新たな収益源を確保しようと、同社では環境、医療、エネルギー、3Dプリンターといった成長を期待できる分野にも注力している。とりわけ最近ニーズが増えているのは環境関連だ。「工作機械を多く販売しているので、 それによって生じる環境負荷の要因を取り除くような装置を提案する」(同)ために、 専門のカタログも制作している。

「 変化に適応できる者だけが生き残る」とはダーウィンの言葉だが、ものづくりが劇的に変化しようという時勢下、先見力のある企業だけが生き残っていくのだろう。山善中国の提案力は、ものづくり企業が変化に対応するための一助となるに違いない。