環境規制の厳格化によりVOC 処理装置 の需要急増。平湖での本格的現地生産で 価格競争力とリードタイム短縮を強化

北京康肯環保設備有限公司
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北京康肯环保设备有限公司 微小粒子状物質「PM2.5」などが原因で深刻化する中国の大気汚染。中国政府も重い腰を上げ、2015年1月1日 に改正環境保護法を施行し、製造業の環境対策は待ったなしとなっている。その窮地を救うのが、揮発性有機化合物 (VOC)処理装置や排ガス処理装置など環境装置を展開するカンケンテクノ(京都府長岡京市)の現地法人「北京康 肯環保設備有限公司」(北京カンケンテクノ)。中国進出20周年を迎える同社は今年、新たなフェーズに突入した。

厳格化する“規制”を追い風に業績は順調に推移


北京康肯环保设备有限公司 カンケンテクノが中国に進出したのは、大手電機メーカーからの要請によるものだった。北京の工場に納めたVOC処理装置の保守を目的に、北京カンケンテクノが設立されたのだった。しかし、いまほど環境問題が表面化していなかった当時、受注を伸ばすことは、至難の業だった。2000年頃には、会社を畳もうかという話さえあった。


 潮目が変わったのは、09年だった。大型プロジェクトの話が浮上。北京の国有系企業からの大型受注に成功し、生産設備の側に設置するタイプのPOU(Point-of-Use)排ガス処理装置100台弱を納品した。12年には、安徽省の大型プロジェクトがあり、VOC処理装置の受注に成功した。13年以降はPM2.5が問題視され始めた。PM2.5発生原因の一つであるVOCを処理する動きが高まり、VOC処理装置のニーズも激増した。


北京康肯环保设备有限公司 2015年1月1日、改正環境保護法が施行。それまでは、法律は存在していても運用に地域差があったため、遵守していない企業も多かった。しかも、設備にコストをかけるよりも罰金を払う方が安いというありさまだった。しかし法改正の施行により、「罰金がほぼ無制限になり、責任者を逮捕することも可能」(松島伸治副総経理)という厳しいものとなった。地方政府の管理監督責任も問われるので、必然的に取り締まりは強化される。最近では、当局と設備をネット回線でつなぎ、リアルタイムでモニタリングされるケースも増えてきている。


 そうした追い風を受け、北京カンケンテクノの売上高はここ数年15~20%程度の上昇率で推移している。当初は、ユーザーのほとんどが中国企業だったが、近年は、売上に占めるVOC処理装置の比率が高まっており、その中でも日系企業からの引合いが激増している。


競合の先を行く“固定濃縮式” がランニングコストを削減

 市場が活況となると、競合プレイヤーも増えていくのが世の常。特に脅威となるのが、中国、台湾地区、韓国のメーカーだ。「数年前までは品質や性能に問題がある装置が多かったが、最近ではそうでもなくなってきている。低価格でありながら性能もかなり上がってきている」(今村浩一総経理)という。


北京康肯环保设备有限公司

  しかしカンケンテクノは、常に技術的優位に立てるよう、研究開発に余念がない。新しい技術は、中国にも投入されている。従来の装置は、VOCを含有する溶剤を活性炭に吸着させる方式が主流であり、中国メーカーにも採用されていたが、活性炭方式の場合は、再利用が難しく、ランニングコストは莫大なものになるので、現在ではこの方式を採用する企業は激減している。そこでカンケンテクノは一歩先を行き、活性炭以外の吸着材料を用いた回転濃縮方式を採用して装置を作ったが、ここ数年、競合他社も同方式の採用を始めている。回転濃縮式の場合は、吸着材の再利用が可能で、濃縮倍率に限界があるものの、活性炭方式よりはランニングコストが低減できるため、この方式は現在多くの企業が採用している。


 カンケンテクノが提案する最新の技術は「固定濃縮式」、回転式よりもさらに濃縮倍率を高めることができ、溶剤の自燃を促進するため、再生エネルギーが最小になり、電気ヒーターでも再生可能。ランニングコストを大幅に低減かつ装置の運転管理が容易である。また、幅広い溶剤の処理に最適な吸着材の選択が可能であり処理効率をさらに上げることができる。「常に新しい技術を研究開発し続けることが当社の経営理念である」と今村氏は強調する。



新たなフェーズに入った “ 現地生産”

 こうした新技術の追求に加え、同社は、VOC処理装置の現地生産にも取り組んできた。その形態は、その時の状況や時代に合わせ変えてきた。


北京康肯环保设备有限公司

 第一段階は、12年から13年にかけてだった。同社は北京に修理工場を有しているが、安徽省で大型受注があったため、装置の大部分を現地業者に委託製造してユーザーに納品した。


 次の段階は14年、四川省での受注のために、重慶市に工場を借り、現地業者を使用し製造をした。この二つの取り組みは、ある程度のコスト削減に貢献し成功を収めた。


 そして16年、同社は新たなフェーズに入った。浙江省平湖市に工場を確保し、8月1日に稼動を開始したのだ。これまでの工場の形態と違い、今回は従業員も雇用。「リードタイムの短縮とコスト削減を実現するには、最終的には社員がしっかり管理しないと難しい」(今村氏)と感じたからだ。平湖工場は分公司として設立。総経理には、当地で10年間、日系企業で工場長を務めた経験を持つ日本人を配置し、日系企業で幹部を務めていた中国人も招聘した。徐々に生産量と従業員を増やし、5年以内には現地法人化する計画だ。


北京康肯环保设备有限公司 原材料はほぼ中国国内で調達が可能で、「日本と少し規格が違うが、それにあわせて設計すれば問題ない」(片岡隆テクニカルエキスパート)という。ただし、サンプルは申し分ないのに、実際に納品された製品は品質が落ちるという業者も少なくない。「信用のある業者と取引しないと、粗悪品をつかまされる」(片岡氏)ため、それを見極める目が必要であるとともに、「きちんとした検査と管理が重要だ」と片岡氏は強調する。


 VOC処理装置に加え、配管などPOUの交換部品の生産も北京と平湖で開始する。北京工場は、改修して部品製造のための設備を導入。8月から生産を開始した。「パーツ販売など、販売後のサービスによる収益が少ないので、これから伸ばしていきたい」と今村氏は展望を語る。


濃度測定にテスト機の設置 競合に差がつく“サービス”

北京康肯环保设备有限公司 北京、平湖に加え、上海、重慶、成都、合肥、深圳、福州に拠点を持ち、さらに上海の松江と蘇州には、提携のサービスセンターを有し、広範な地域をカバーする同社は、その拠点の数だけでなく、日系ならではのきめ細かなサービスも特長だ。同社では、受注が決まる前でも簡易でVOC濃度の測定を行う。「濃度が明確にならないと詳細な提案が出来ない。出来れば第三者機関での成分分析もお勧めする。」(松島氏)。現状を把握できるため、顧客にとっては有意なサービスだ。


 さらには、理論上は処理できても実際はどうなのかを不安に感じる顧客には、テスト機を貸し出すこともある。競合にはできないサービスだ。


 カンケンテクノは、16年度のグループ全体の売上高を105億円と見込んでいるが、そのうち、中国事業全体の売上は、昨年の25%から33%に上昇する計画だ。他の追随を許さない技術開発力と中国に根を下ろした現地生産を武器に、「17年度はグループ全体の5割を目指す」(今村氏)と中国事業の拡大路線は続く。