精密かつ複雑な自動車部品用金型を 中心に 顧客の研究開発サイクル 短縮と製造コスト削減に尽力

上海佳谷模具有限公司
会員番号:53883
所在地:上海市松江区车墩镇香泾路1069号
電話番号:189-1696-8102(呉雪琴)  Email:yuki.wu@jiagumould.com


 精密樹脂金型の設計・製造から射出成形までを一貫して行う「上海佳谷模具有限公司」は2011年1月に設立され、近年、精度要求が厳格な自動車の分野に重心を置いている。8月には新工場が稼働 する予定で、完備された設備と技術力を備えるチームが、顧客満足度をいっそう高める。

上海佳谷模具有限公司要求の厳しい自動車業界に着眼

 上海佳谷が設立された当時、顧客は電子関連の企業に集中した。電子業界の不況にともない、14 年、顧客の紹介で、初めて自動車関連の日系、ドイツ企業と取引するようになる。車載用のハーネスプロテクターやヒューズボックスなどの製品だった。呉雪琴総経理は、自動車業界の潜在力は大きく、製品に対する要求が高く、それは上海佳谷が取り組んできた精密で複雑な金型の製造と合致すると思い至る。それからは、事業の軸足を自動車分野に置くことにした。

 

 現在、自動車関連の業務は、全体の70% を超える。自動車部品の金型は同社の主力製品であり、コネクタ、モーターケース、センターコントロールボックス、調節ボタン、インパネのボタン、内装部品などさまざまな部品を手がけている。

 

顧客と共同で高精度金型を開発

 自動車業界は精度に対し、非常に厳しいが、上海佳谷のコネクタ用金型は、0.002mm以内という高い精度を実現。1セットの金型には数千の部品が使用され、組立に対する精度要求も高い。加工精度を保証するために、工作機械の点検やメンテナンス、精度校正は必須だ。同社では高精度の刀具を採用し、適時オンライン計測により、刀具の磨耗や破損による加工誤差を防いでいる。厳格なワークの検査と再チェックにより、100%の良品が金型組立ラインに流れることを保証する。


上海佳谷模具有限公司

 原材料は、さまざまな成形材料のなかから最もふさわしい鋼材、焼入れ硬度を選択。鋼材は日本やドイツから輸入し、各部品の硬度、平坦度、直角度、寸法精度、さらにはスライダーや組立の隙間、動きまでを保証する。金型の寿命は、通常で100万〜200万ショットで、仕様によっては、300万ショットに達するものもある。サイズは成形機30~600tで、納期は複雑さの程度によって20~60日。急を要する 試作品については、最短1週間での納期を実現する。

 

 上海佳谷の顧客のなかには、金型開発に1回、あるいは何回か失敗した末に、別の顧客の紹介で同社を頼ってきた企業も少なくない。それには、これまで中国国内で成功したことのない案件も含まれているという。同社の技術チームは、顧客の製品の設計段階から関与し、顧客と共同で問題を発見して最適な提案をする。金型のタイプや構造を最大限簡略化し、製造コストを削減。変形しやすくて公差要求の厳しい製品に対しては、流動解析により、ソリ見込み量を決める。トライは基本的に2回以内に抑え、特別複雑な場合でも4回以下。それにより金型開発サイクルを短縮し、成功率を上げるとともに、さらなる製造コスト削減に貢献するのだ。

 

 呉氏は「上海佳谷の金型を採用するようになってから、人手によるバリ取りの工程が減り、年間100万元のコスト削減になることもある」と打ち明ける。予算が限られていて金型開発に余裕がない顧客には、既存の金型を補修することも可能で、顧客のニーズに柔軟に対応する。



生産能力と競争力が一段と向上した新工場

 創業当初は、10名の従業員と数台の国産設備しかなかった上海佳谷。いまでは56名になり、そのなかには研究開発や設計に携わる人員が10名以上いる。設備も全面的に新しくなり、牧野放電加工機、CNCは牧野とファナック、射出成形機は日精樹脂工業と住友デマーグ、測定器はミツトヨ投影機、工具顕微鏡、ヘキサゴン三次元などを保有するようになった。ISO14001とISO9001の認証も次々と取得。今年5月には、自動車産業向け品質マネジメントシステムであるTS16949の認証を取得した。


上海佳谷模具有限公司

 不断の発展により、現有の建屋と設備、人員のレベルでは、日増しに増加する顧客のニーズを満たすことができなくなってしまった。そこで同社は、8月に上海市松江区の新工場に移転することにした。広さは、従来の1500平米から3600平米に拡大。2階建ての建屋には、これまでの2〜3倍規模の倉庫を確保している。 金型部門には、3台の設備を増設する。牧野CNCのZ軸も回転する放電加工機、主軸が3万回転のマシニングセンタ、そしてワイヤー放電加工機だ。金型の年産は、現在の300セットから400セットに増量される見込み。製品設計チームを導入し、顧客に製品の設計・研究開発から金型の設計・製作、量産および組立までをワンストップで提供していく。

 

 投資規模が最も大きいのは射出成形部門で、設備は7台から26台に増加する。ファナック「電動射出成形機ロボショット」の50t が5台、100台が10台、日精の射出成形機140t、180t、220tがそれぞれ2台などだ。新たに購入した日精の油圧式射出成形機「FNXシリーズ」は、変形や表面のヒケを校正する機能を備え、製品外観の品質の精度向上を一歩進めることに貢献する。さらには、約40名の射出成形部門のチームを新設。それには、日系企業に精通する高級管理人材や中核チームが含まれる。射出成形部門の生産能力は、これまでの8〜10倍になる見込みだ。

 

 現在、成形品の生産が事業全体に占める割合は、25~30%。呉氏は、「自動車部品は依然として当社の金型部門にとって主力業務であるが、国内の自動車業界には、代金回収の期間が長いという問題がある。資金圧力を均等化するためと、総合力を強化するためにも、新工場をてこに自動車、医療、化粧品業界を国内外問わず開拓したい。射出成形品の生産を拡大させ、売上高の60~70%を占めるまでに成長させたい」と意欲を示す。


日本市場とドイツ市場の開拓に重点

 目下、上海佳谷の顧客の約80%が日系企業だ。同社は引き続き日系企業とともに歩むと同時に、展示会やセミナーに参加したり工場視察などを通じ、ドイツ市場の開拓に力を入れていきたいとしている。それだけでなく、国内の自動車業界において、より多くの上場企業の視野に入り込んでいきたいとしている。

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呉氏は「大企業には総じて固定されたサプライヤチェーンマネジメントができあがっていて、入り込むのは容易ではない。高難度かつ高精度の製品を突破口にしたい」と話す。そのためには、人材の能動性を発揮することが必須であると考え、同社は人材育成を重視。研修会社との提携を通じ、定期的に企業文化や働くうえでの心理状態、職業技能などの各種研修を行っている。また、同社は絶え間なく半自動化や自動化を推進し、不要な労働力を減らすことで生産効率を上げていく構えだ。

 

 そして上海佳谷は、ウェアラブルデバイスや環境保護など、新しい分野に眼差しを向ける。すでに金型の製造大国となった中国で同社は、積極的に創造する姿勢でそれぞれの挑戦に対応していくことを堅持。し烈な市場競争のなかで、持続可能な発展を追求する。